野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

《ちりもつもればチャッコーナ》初合わせ

朝から新曲《ちりもつもればチャッコーナ》の校正作業をやって、午前11時ごろに完成で、譜面をメールで発送。そのまま荷造りして、大阪に向かう。

 

大阪音大にて、音大の先生方と《ちりもつもればチャッコーナ》のリハーサル。センチュリー響の演奏家たちも次々に到着してリハーサル。そのままワークショップ参加者も次々に到着して、譜読み。

 

1時間しかないワークショップの時間。10分もある新曲を最後に一度通そうと思うと、50分で部分を練習して、最後の10分で通し。この難問を可能にする方法をこの1週間試行錯誤を繰り返して作曲した。コロナ前の頃のようにワークショップの時間が2時間あったら、作曲の作業は半分以下で済んだ。でも、たったの1時間で最後に通しができるのかは、作曲中ずっと不安だった。仮に通しができたとしても、やるのに必死すぎて全然楽しくなくなってしまうのではないか、と心配で、徹夜が続いた。だから、最後の通しが本当に良い感じで通って、手応えが感じられて、本当にほっとした。フラフラになりながら修正に修正を重ねて良かった、と思った。

 

日本センチュリー交響楽団演奏家たちも本当に上手いし音楽性も高いし、大阪音大の先生たちも素晴らしいし、ワークショップの参加者の方々も吸収が早い。いいメンバーでやってて幸せだ。かつてイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンが、ノアの箱舟をテーマの新曲をオールドバラで地元の子どもたちで上演した同時期に、ストラヴィンスキーがノアの洪水の曲を現代音楽祭で発表しているのに対して、負け惜しみのように、自分は現代音楽祭なんかよりも、オールドバラの子どもたちに演奏されることを誇りに思う、と言っていた。今日のぼくは、すごくブリテンに共感する。ぼくは、今日のこのメンバーに演奏されるための音楽を書いたことを誇りに思う。

 

今日は大阪泊にしたので、井口先生(音楽学)、江美さん(ガムラン)、森さん(ヴィオラ)と夕食をご一緒して、プチ反省会。いいメンバーと一緒に仕事をできていることに感謝。

 

世界初演は2月25日@センチュリーオーケストラハウス

「世界のしょうない音楽祭」を開催 豊中市と岩手県大槌町の子どもたちが演奏:時事ドットコム