《踊れ!ベートーヴェン》を作曲したのは、1年間のイギリス留学を終えた直後の1996年だった。20代の無名作曲家のぼくに、ジャワガムランのための新曲委嘱があり、当時のぼくはガムランの知識は限りなくゼロに近く、この作品をきっかけにガムランやインドネシアと深く関わっていくことになった。あれから26年経って、今年、また《踊れ!ベートーヴェン》の再演が決まった。今日は、京都府と奈良県の境、木津川市で《踊れ!ベートーヴェン》のリハーサルに参加した。
JR奈良線で京都駅から40分ほど行った木津駅でピックアップしていただき、車で15分ほど行く。かつて都があった土地。田舎の田園風景が続き、丘を登って行った先に、寺子屋「やぎや」があった。そこには、ヤギが2頭くつろいでいた。長閑な光景。
古民家を改装したスペースは、ぼくが子どもの頃のような光景。畳の上に子どもたちがゴロゴロ寝転がりながら、漫画を読んでいたり、それぞれが勝手に遊んでいたりする。初めて来たのに懐かしい。
2018年に始動したミカノハラ・ガムラン・プロジェクトも今年で5年目。初年度は子どもたちと影絵を作り、2年目がダンスをつくり、3年目でコロナになって映像をつくった。今年は集大成とも言える5年目で、創作ガムラン劇をつくっている。その中で、ぼくの《踊れ!ベートーヴェン》も上演してくれるらしい。さっきまでゴロゴロしてた子どもたちが、26年前にインドネシアの子どもたちが歌った場面を歌ってくれ感激(あの頃10歳の子どもが、今では36歳になっているはずだ!)。
26年前に作曲した時には、ただただガムランという初めての楽器と格闘するのに必死で、まさか自分が作曲した曲が、こうして4半世紀過ぎて、また演奏されるなんて想像もできなかったなぁ。
お茶の産地であるので、新茶をいただき、さらにお茶殻をわさび醤油でいただいた。美味しかったし、楽しかった。