野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

729は3の6乗/《踊れ!ベートーヴェン》再演。

ホテルの鍵をフロントに預ける時に、部屋番号覚えられるかなと思い、何号室だっけ、と見ると729号室。どうやって覚えようかと素因数分解してみると、おおっ何と3の6乗(3x3x3x3x3x3=729)、これ、絶対忘れない。ゾロ目が出た気分で、勝手に盛り上がる。

 

マルガサリのコンサート@京都芸術センター、2回公演を無事やり切った。27歳の時に作曲した《踊れ!ベートーヴェン》を、力一杯演奏した。26年前の作品を、コロナの2022年に取り組んで、自分の原点も再確認できた。自分が音楽家として、これからの何十年を歩んでいく自信を持つことができた。

 

マルガサリの演奏、ゲストの會田瑞樹のパーカッション、本当に素晴らしかったし、ギター部の生み出すほのぼのした空気感も素晴らしいし、伸子さんの茶箱に関するトークはロックシンガーのような力強さがあり素晴らしかったのだが、それらに加えて、やはり非常に印象的だったのが、子どもたちの活躍。

 

これだけ子どもたちが入り乱れて、歌ったり動き回って上演する音楽やったの、コロナになって初めてかも。でも、1996年には、普通に発想したことだ。全員抗原検査して、全員陰性で、今日が実現してよかった。

 

子どもたちが嬉々として歌ってくれたり、ヨガしてくれたり、トイピアノを一緒に弾いてくれたり、ヤギの鳴き声をメェーーーーーとやってくれたり、踊ったり、ガムラン鳴らしたり。特別な時間だった。あんなに祝祭的で至福の音楽なのに、客席で涙ぐむ人が結構いたし、泣いたとの報告も何人も聞いた。この生きづらい世の中の何かを払拭するようなエネルギーがある演奏になったようで嬉しい。ぼく自身も、生きる勇気をたくさんもらった。

 

昼公演、夜公演、色々な方々が駆けつけてくださり、色々嬉しい感想の数々を聞き、今後の人生の大きな柱ができた気がした。みんな、ありがとう。

 

プレトークの會田瑞樹さんのお話で、彼が演奏活動だけでなく作曲もしている大きなきっかけに、インドネシアの音楽家との交流があったことを知る。国際交流基金での企画に推薦したことが間接的に本日の新曲の初演に繋がっているのであれば、あの時推薦したりアドバイザーを務めたことも、決して無駄ではなかったと思えて嬉しい。すぐに成果として出なくても、時間が経つと、こうやって効果が現れてくるんだなぁ。2019年に彼のために書いた《相撲ノオト》の世界初演は、コロナが迫ってきていた2020年2月だったなぁ。

 

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