野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

神戸のためのコンサート/十和田に向けてのインタビュー/アウトオブ民藝

阪神淡路大震災の日。あの時、ぼくは26歳だったが、それから27年経ったのだそうだ。ぼくはブリティッシュ・カウンシルのフェローとして、イギリスのヨーク大学大学院で1年の研修をしていた。当時はまだインターネットも一般には普及していなかったので、イギリスのテレビに映る神戸の風景を目の当たりにして、呆然とした。日本の知人に国際電話を試みても、回線が混み合うためか連絡がつかない。不安を解消するためにパブに行って飲めないビールを飲んで酔っ払う以外に、何もできなかった。

 

ヨークのヘスリントン教会で『神戸のためのコンサート』を実施したのが6月だから、実現までに5ヶ月を要した。牧師のアンドリュー、ヨーク大学の日本人会の人たち、バーンホルム中学校の中学生たち、ヨーク大学音楽学部の大学生たち、大学院生たち、ヨーク在住の作曲家のトレヴァー・ウィシャート、そして、新聞記事を見て連絡をくれたイギリスでボランティア活動をしている日本人たち、などの協力を得てコンサートは実現し、神戸にいる美術家の島袋道浩くんが電話出演してくれたし、神戸のラジオ局と繋いでくれて、ラジオ出演もした。コンサートのオープニング曲として作曲した《神戸のホケット》は、その後、鍵盤ハーモニカ8重奏となった。

 

2月の十和田市現代美術館での問題行動トリオの公演『ビジュツセッシュ』と『トワダノワダイ』に向けて、クリエーションは進んでいるが、クリエーションの一環として当日配布のハンドアウトの作成がある。公演に向けて作品のイメージを言語化することも、作品のクリエーションにつながっていく。既に佐久間新さんのインタビューは終わっているが、今日はぼくがインタビューを受けた。インタビュアーは、問題行動マガジンの編集長でもある里村真理さん。語ることで、あいまいとしているイメージが言語化され、その意味についても考え直すきっかけになる。そして、最後のシーンについてのアイディア、ちょっとしたヒントが会話から生まれてきた。

 

里村さんと音読していた『アウトオブ民藝』を読了。柳宗悦の民藝にフォーカスを当てるのでなく、同時代にその周辺であった様々な動き(山本鼎の農民芸術運動、今和次郎考現学、などなど)に光をあてる対話。

 

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