野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

龍門アーティストスタジオ/しまうちみか

熊本市の北東、阿蘇市の北西にある菊池市に龍門アーティストスタジオがある。廃校になった小学校を活用している。本日は、オープンアトリエの日らしく、美術家のしまうちみかさんのアトリエを訪ねた。

 

www.shimauchimika.com

 

廃校になった小学校を活用というと、京都芸術センターとか、守谷のアーカススタジオなど、いろいろあるが、ここはかなり山奥なので、兵庫県養父のBIGLAOBおおやを思い出した。

 

しまうちさんのアトリエは、彼女の作品に触れるだけでなく、作品になる以前の様々なモチーフが溢れていて、ここにいるだけで幸せな気持ちになった。また、彼女が言うところの「事故」を積極的に取り入れていこうとする態度は、音楽家にとってのインプロヴィゼーションの精神とも通じる部分であり、また、そうした事故によって生まれてきた様々なモノを空間に配置する構成力が抜群で、実際に展示を体験したくもなった。

 

しまうちさんは今年、青森のACACで滞在制作されたとのことで、ぼくが9年前に滞在制作した時に開墾した《音楽畑》(2012)が、今でも畑として継続していて、そこは憩いの場であると同時に、滞在アーティストと青森公立大学の学生や先生が交流する場にもなっている、と知り、心底嬉しく思う。自分が蒔いた種が勝手に展開してくれているのは、アーティストとして非常に嬉しいことだ。


昭和の終わり=平成の始まり頃に生まれた世代のアーティストと最近よく出会う。ヴィブラフォン奏者の會田瑞樹くんもそうだし、美術家の藤野裕美子さんもそうだし、しまうちさんもそうだし、鍵盤ハーモニカ奏者の南川朱生さんもそうだ。この世代の活躍、どんどん見たいなぁ。

 

しまうちさんの案内で、森元嶺さん、内田勝弘さん、星加民雄さんのアトリエも見学。星加さんは崇城大学を定年退職されてのち、こちらのアトリエに入られたとのこと。いろいろな世代が同居しているところも面白い。星加さんと話し込むうちに、作曲家の光永浩一郎さんが共通の知人であることも判明して、いろいろ話が盛り上がる。

 

行き帰りの車内で、里村さんと話し込む。「多数決じゃないプロジェクト」、「インドネシア原発について考えたら、シドアルジョの泥火山と出会った」など、やりたいけれども進められていないプロジェクトについて。いろいろなモヤモヤに向き合っていきたい。

 

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