野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

MINAMATA/橙書店/太田省吾

東京、那覇豊橋豊中と遠征が続いていたが、今日から3日連続で自宅にいられるので、休暇モード。里村さんと熊本の映画館Denkikanに行き、映画『MINAMATA』を見る。熊本県に引っ越して半年の新参者だが、水俣と同じ不知火海に面する不知火町にいるので、京都に住んでいる時と精神的な距離感は変わっている。この映画は、水俣病にフォーカスした映画というよりは、水俣病を取材した報道写真家のユージン・スミスにフォーカスした映画だった。映画の中で描かれるユージン・スミスは、かつて成功したがアル中で借金を抱えた写真家。どうしてアル中になったのか、映画の中でその背景は語られなかったが、報道写真家として過酷な現場を経験することは、精神的にも相当疲弊するだろう。見たくないような人の心の暗部に触れることも多いだろうから、トラウマになったり心の傷を負ったりするだろうから、アル中になった背景を想像することは難しくない。実際、この映画の中で、ユージン・スミスは何度も心が折れそうになる。彼は水俣に3年住んだようだが、それは彼が今のぼくの年齢の頃のことだ。彼の苦悩や葛藤を、自分自身の問題としてこの映画を見ると、今の自分に突きつけられてくる。自分がやるべき音楽を十分作れているのか。向き合うべき現実から目を背けていないか。ユージンがぼくの年齢の時に試行錯誤して道を見出したように、ぼくもしっかり試行錯誤して道を見つけていきたい、と思った。

 

橙書店に行く。建築家の岡啓輔さんの本があり購入。岡さん本を出していたんだ。橙書店、いい本にも出会えるし、面白い人にも出会える。

www.chikumashobo.co.jp

 

夕方は、太田省吾勉強会。来年3月に京都芸術センターで太田省吾の戯曲をきたまりが振付する公演『棲家』にて音楽を担当する。本日は、ドラマトゥルクの新里直之さんが太田省吾のこと、棲家のことをレクチャーしてくださった。来週12月15日に、京都のアバンギルドできたまりさんと公演するので、その打ち合わせもした。

 

12/15 (wed) きたまりソロダンス公演「STAY」 – UrBANGUILD