野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

島袋道浩「二度起こること 象が海からやってくる」

長崎に来ている。長崎県美術館で、島袋道浩展が明日から開催され、本日はパフォーマンス。見に来ることにしたら、ぼくも演奏で参加することになった。だから、今朝、PCR検査キットで検査をして、陰性であったことを確認の後、美術館へ。

 

軽く現場を下見して後、企画展のミケル・バルセロ展を見る。彼のペインティングは、初期のものから常に躍動感があり動きがある。図書館を描いたものが、図書館の本棚の本ですら、その若干の傾きとかが躍動的で、静的な空間の典型とも思われる図書館を、これだけ動的に描くことがこの画家の特長と思った。消えてしまう水で描く絵画や、粘土に格闘技のように格闘するパフォーマンスなどの映像は、さらにその動きがダイレクトに感じられて楽しい。この後は、三重と東京を巡回するらしい。おすすめ。

 

ミケル・バルセロ展 | 企画展 | 長崎県美術館

 

島袋くんのパフォーマンスは、海の中から船で白いゾウがやってくるものだった。2001年に北九州での企画で作られたゾウは、佐賀のお寺に保管されていて、今回、初めて長崎に来た。江戸時代に長崎に船でやってきたアジアゾウが江戸まで歩いていったという史実に基づき、20年前に生み出されたゾウ。今回は船に乗せて上陸した場面を再現するパフォーマンス。ゾウの鳴き声を英語でトランペットというそうで、今回島袋くんはトランペットを購入し練習したが、ピッチの不安定なトランペットの音はゾウの声のようであった。そして、船の上には、レインボー岡山(岡山直之さん=美術家)がカラフルな衣装で乗り込んで不思議なポーズをしていた。ゾウが船にのって海の上にいるだけで、不思議な光景なのに、そこに岡山さんの存在が、不思議な光景をますます不思議な光景にして、それが当たり前のようになっていた。ぼくは、運河にゾウが来て後、陸からケンハモを吹き、ゾウ(トランペット)とセッション。島袋くんの自由な世界に触れて、大変触発される時間だった。

 

https://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?id=2144&command=standing

 

午後、常設展を見て、原爆資料館を見て、オランダ坂大浦天主堂あたりを散策した間に、島袋くんの映像編集が終わっていて、それを見て、明日から始まる展示室を見て、皆さんと交流の後、熊本に戻る。島袋くんから、いい刺激をいっぱいもらった。ありがとう。