野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ガチャ・コン音楽祭、構想中

滋賀での「ガチャ・コン音楽祭」を立ち上げるので、プロジェクトディレクターとして、猛烈準備中。ゼロから始めるので、大変だけれども面白い。見えないことも多いけれども、少しずつ見えてくるのは嬉しい。見えないのは、これから出会う人々のこと。どんな人と出会い、どんな交流が始まっていくのかを想像する。今、永尾さんが地域コーディネーター”ぐるぐる”育成講座のチラシをデザインしてくれていて、間もなく校了なので、このチラシを見て応募してくる人々のことを想像する。滋賀県をぐるぐる巡って、色々な考えをぐるぐる廻らせる活動が始まっていく。楽しみだ。

 

「ガチャ・コン音楽祭」は、とても小さな規模のささやかな催し。コロナから発想していることも多い。コロナで声楽の活動が大きな打撃を受けたので、声のことをやりたいと思い、録音で流す車内放送だったら飛沫の心配ないから、車内放送のことを考えている。どんなアーティストにお願いするかとか、色々、妄想を膨らませて過ごす。ちょっとずつ具体的にイメージできてくる。もう一つ、コロナから発想したことは、密閉していない空間。密閉した空間の駅よりも、プラットフォームしかないような無人駅だと換気の心配もない上に、借景が楽しい。そんな場所でどんなライブが可能かと妄想を膨らませる。

 

本日は、伊福部昭の誕生日だそうだ。1992年にpou-fouのCD"Bird Chase"をリリースした際、レコード会社から1曲他人の曲をカヴァーしてほしいという注文があった。ぼくは、伊福部昭の「ゴジラ」を選び、レコード会社に伊福部関係のCDを何枚も買ってもらい聴いたり、レンタルビデオ屋で「ゴジラ」や「ゴジラキングコング」をみたりして研究した。「ゴジラ」は終戦間近であり、水爆実験、疎開など、戦争の記憶が濃かった時代の反戦映画で、「ゴジラキングコング」になると、経済成長の時代を描くので、「キングコングの権利はスポンサーにある」とか言い出す。このCDに収録したゴジラは、「ゴジラ」で始まりながら、「ゴジラキングコング」で出てきた主題も出てきて、その二つが重なり合っていくような構成にした。このアレンジを伊福部さんがどう感じたのかを知りたくて、無礼にも何かで電話番号を調べて、直接ご自宅に電話した。すると、レコード会社からCDが届いていないというので、ぼくの方から再度、郵送することにし、郵送してしばらく後、また電話をして感想を請うた。しかし、伊福部さんは、届いていないと言い、ぼくは感想を聞くことを諦めたように思う。あれから30年。いきなり電話した失礼いたしました。ハッピーバースデイ。松平敬さんも、どうやら今日が誕生日だったようだ。ハッピーバースデイ。