野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

問題行動トリオと振り返る問題行動ショー

「すべての政府は嘘をつく」という映画を見た。今、アップリンクがやっている2980円で3ヶ月間60本の映画が見放題というのに申し込んで、アップリンクの60本の映画を片っ端から見ている。この「すべての政府は嘘をつく」は、タイトルの通りの映画で、その嘘をつく政府の嘘に対抗する小さなメディアで活動するジャーナリストたちの物語。もちろん、すべてのドキュメンタリー映画も嘘をつく可能性があることを承知の上で見たが、本当に面白いし、有気づかられた。ぼく自身、小さなメディアで発信している音楽家として、そして、誠という名前であるから、これからも誠実にやっていこうと思う。

 

学校や職場でいじめにあっていた人は、新型コロナで救われたかもしれない。逆に、家庭で虐待を受けている人は、逃げ場を失ったかもしれない。(インターネットに疎い)一人暮らしの高齢者にとっては、社交の場であった劇場や音楽サークルやカフェが奪われることは、生きる活力を奪うことにもなり得る。もし、今の状況が長期化したら、どんな問題が隠れて進行していくのだろう?アートプロジェクトは、それらを想像して、柔軟に形を変えて対応していくことができるのだろうか?(できるはず)。ウイルスも見えないけれども、他にも見えないことはたくさんある。その中でも(無自覚に)無視されてしまう見えないことがありそう。そこに光を当てられる?聞く芸術家として、混沌で喧騒で混乱の世界の中で、助けを求める叫びが聞こえる?ゆっくり呼吸をして、世界に耳をすませば、聞こえてくる声に出会えるはずだから、ぼくたち音楽家こそ、(どのような非常事態に際しても)落ち着いて世界の声を聞く、兆しを聞く、そういう存在でありたい。だから、発信することも大切だけれども、そっちばかりに偏らないように、世界の声を聞き、同時に自分の内なる声を聞くために、自分が受け手になれるために、楽器に向かってみようと思った(と独り言をこうして書いてみた。少し気持ちが整理できた。ふうっ、ありがとう)。

 

ということで、ピアノをいっぱい弾いた。また、おっさん姉妹に新曲を書いてしまいそうだ。そして、ホルストを少しだけ編曲した。

 

夜、問題行動トリオと振り返る「問題行動ショー」というネット配信トークイベントに出演した。なかなか不慣れな上に、「問題行動ショー」が要素が多く複雑であり、まとまりのないトークになったかもしれない。しかし、90分話した結果、今、新たに起こしたいアクションを思いつくことができたので、今日という時間を視聴者の方々と共有できたことに、本当に感謝。と同時に、今回、前提として共有する情報が多すぎたのだが、2年前の香港のレジデンスについて、自分なりにちゃんとまとめてレポートしたい。1年前の香港での知的障害者とアートの国際会議についても、いろんな人とシェアしたい。そして、10ヶ月前の「ノムラとジャレオとサクマの問題行動ショー」についても、あれをやった意味について、もっと掘り下げて考えたいなぁ。考えたかったけど、今日の90分で、そこまで言えなかったなぁ。自分なりに整理して、作文していきたい。近々、公開になるwebマガジン「問題行動マガジン」をうまく活用していきたい。

 

以下の動画の1時間7分すぎに、第2部のトップで、ウェイリン(爆発ピアノくん)と野村誠のセッションです。日本センチュリーのヴァイオリニストのイワサキさんとミンキの木琴のデュオは、1時間31分あたりから、カヤンとミンキのダンスのシーンは、1時間48分あたりからです。

 

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