野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ウマの足の動きを真似したい

昨日のナカリさんを再び訪ね、乗馬体験をさせていただいた。馬との音楽は経験があったが、馬の上に乗ったのは、人生初。しかし、今日の大きな発見は、乗馬がうまくできずにリタイアした後、馬を観察することにあった。馬の足の運びが、とにかく面白い。右後ろ足→右前足→左後ろ足→左前足→‥と続く足の奏でるリズムは、観察して飽きることがないし、その動きを足と手で真似すると、なかなか難しい。馬を模倣するボディパーカッションや作曲は、いろいろできそうで、面白い。しばらく、馬の動画をいろいろ見て、足の動きを研究したい。

 

十和田市現代美術館で開催中の「ウソから出た、まこと」という展覧会を見る。藤浩志さん、ナデガタインスタントパーティー、北沢潤さんのグループ展。藤さんは、自伝的な小説と、それに関連する写真や新聞記事やオブジェなどが、飛び出す小説という感じで、展示されている。「嘘から出た誠」というタイトルから考えたのか、フィクション(ウソ)として語られる小説から、実際の証拠物件が飛び出してくるので、まったくもっとウソから出たマコトである。藤浩志という作家が人生の節目節目で出会った率直な疑問とそれに対する回答としてのアート活動を読みつつ、しかし、コイノボリやヤセイヌなどの瞳が愛らしく、その愛らしい眼が、この美術家のなんとも言えないテイストだなぁ、と思う。

 

ナデガタインスタントパーティーは、十和田で出会った人々との交流を通して、展示を作り上げていた。市民交流から生まれたアイディアを結集させて、馬に関する博物館をつくっていた。ウソから出たマコトの博物館。絵馬とか、擬似乗馬体験コーナーなど、いろいろな馬。その前に見た藤さんの展示で、藤さんという人の悩みや葛藤などが露出していたため、ナデガタの方々は、ウマに対して、どんな愛情を持ち、どんな悩みや葛藤を持ったのだろうか、持たなかったのだろうか?そこが気になった。

 

北沢さんはインドネシアから運び込んだ様々な人力の乗り物を美術館の外に設置していて、これらが町に繰り出していくことで、町の風景を変えていく。あの熱帯のインドネシアで、バイクの排気ガスの混み合う道路で見慣れたベチャが、この肌寒い青森県で交通量の決して多くない十和田の町にいるので、知っているはずのベチャが、全く違って見えてくる。

 

野村誠作曲「十和田十景」の楽譜と3月の十和田のピアノをめぐるツアーの記録動画を持って、ご協力いただいた方々の家々を巡る。動画上映とこの10曲でのコンサート、いろいろなところでやりたいなぁ。とりあえず、5月26日のStimmer Saal(滋賀)での「ピアノの本音」で弾いてみようか、と思う。