野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

脳性麻痺の合唱団

香港滞在も残り12日。

本日は、午前中に作曲家の冨田勲さんの甥御さんの冨田病院院長ご家族が、香港まで視察に来られました。ベリーニが案内してくれての午前中。

午後は、i-dArtのスタッフの娘さんも交えたランチ。彼女と遊べる時間も、もうあと少し。

その後、脳性麻痺の方々の合唱団のコンサートを聴きに行く。合唱と言いますが、斉唱で、独唱になる部分がないので、一人一人の個性的な歌声は聞こえてこないので、上手にアレンジすると良いのでは、と思いました。また、ドラムとベースとキーボードでの楽団が伴奏をしていましたが、通常の音楽の型にはめるのでなく、この合唱団を最も活かす伴奏の楽器編成の形態も探ってもいいのでは、と思いました。でも、合唱団のメンバーが恊働で作詞作曲した歌が何曲もあったことは、特筆すべきこと。自分たちの思いを自分たちの声で届けることは、大いに評価できることです。

その後、Yet Thirties Experimental Art Spaceにて、柴田祐輔展を見ました。香港で滞在制作した日本人作家が香港の文化に対して、どのようにアプローチしたのか、大変興味がありました。深水埗の路上で売られているゴミのような物たち、燃やして死者の国の人々に捧げる儀式、そうしたことを題材に、非常に醜いゴミのようなものを、非常に手のかかる手作業でつくり、醜いけれども美しい、美しいけれども醜い、そのような美の境界線のインスタレーションでありました。実際に柴田さんにも作品に関してお話を伺うことができ、より色々考えるヒントをいただきました。感謝。