野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鍵がぬけたパリの最後の夜

朝、マルセイユの町を歩き、ちょっと買い物の後、荷造り掃除をして、チェックアウト。TGVで、パリへ移動。ありがとうマルセイユ

パリに着くと、なんと雪が降っている。なんてこった。メディと再会。メディの家に移動。メディは息子を迎えに行くので、夜、フェスティバル会場で会おうと、チケットと鍵だけ渡されて、メディの家にて、しばし休息。

さて、出かけようと思い、メディの家(2階)の鍵をかけ、1階におりて、玄関の鍵をあけようと、鍵をさして回そうとしたら、急に、鍵が全く動かなくなって、抜くこともできない。まわらない。何をしても、動かない。ショック!ここから出られないじゃないかーーー!

焦っても、何をしても、鍵は動きません。30分ほど、ここで立ち往生していると、1階の住人が出かける準備をして、やって来ました。その人に事情を話、あの手この手であけようとするが、開きませんし、動きません。業者を呼ぶか、でも、凄くお金がかかるし、と悩んだ挙げ句に、その人が、意を決したように、強引に力づくで引っぱりました。これは、下手をすれば、抜けるどころか、鍵が壊れたり折れたりしかねない、ヤケクソのアプローチです。そしたら、どうやっても抜けなかった鍵が抜けました。頭を使うよりも、勢いも大切と学びました。

ということで、音楽祭に出かけます。Sonic Protestという音楽祭で、夜の8時から翌朝4時まで。日本のMaher Shalal Hash Bazも来仏で出演なのです。日本でも見たことないのに、パリで見られるとは、不思議な縁です。そして、ぼくは工藤冬里さんではないのですが、勘違いして、工藤さんだと思って話しかけてくる人が複数いました。「4年前、君と大分で共演したよ」と言ってきた人、明らかに初めて。ちゃんと顔を覚えて下さい。困った。

会場でメディの友達に次々に紹介される。今年の7月から京都にレジデンスで3ヶ月滞在するという美術家の人とも会った。いろいろご縁があり、深夜1時くらいまで楽しんで、帰る。フランス最後の夜も満喫。メディの最近の仕事もいろいろ、話をして、最後の時間を楽しむ。教えている美大で、フランス国立管弦楽団とコラボレートしたりもするそうで、えーっ、ぼくも日本でオーケストラと仕事しているよ、などと話し合う。初めて会ったのが20年前だから、月日が経つのも早いというか、こういう再会は、本当に嬉しいな。ありがとう、メディ。