野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

16の架空の言語のうた

マルセイユでの2週目。1週目の宿をチェックアウトし、車で新しいアパートまで送ってもらう。マルセイユは坂が多いし、一方通行も多いし、交差点も複雑なので、非常に複雑な道を通って、坂の上の方まで昇ったかと思いきや、そこは立体駐車場の入口で、駐車場に入ってから、何階も下に降りていく。坂道の町で駐車場のスペースがないから、こういうことになるのか。駐車場で車を止めると、スーツケースを押しながら、しばらく歩いていく。つまり、この近隣の一帯の人々みんなが使っている共同の巨大駐車場だったことがわかる。しばらく歩き、脇道に入ると、日本で言うところのマンションへ。エレベーターで6階へ昇り、601号室。ここが、遠方からの講師の滞在先として、ERACM(演劇学校)が持っている部屋なのだろう。普通に広いリビングに、ソファーやテレビ。キッチン。寝室。お風呂もシャワーだけでなく湯船ありが嬉しい。ということで、チェックイン完了。

6階なので、窓から様々な瓦屋根が見えるのが嬉しい。マルセイユの瓦の拭き方は、イタリアのマントバで見たものと似ていて、一種類の瓦で全てのパートを賄うという合理的なもの。パリで見た瓦は、また違った。考えてみれば、ここからパリに行くよりも、イタリアの方が距離的には近い。(マルセイユとパリは、750km離れていて、マントバとマルセイユは600km。マルセイユからイタリアへの国境までは250kmほど)

午前中は、ワイファイの繋ぎ方のチェック。様々な電源の入れ方。キッチンの使い方のチェックなどなど、やっているうちに、時間が経つ。とりあえず、食材を求めて、近所を散策し、買い物。土地勘も分かり、最寄りのメトロの駅も見つけて一安心。これから2週間、ここでなんとかやっていけそう。

午後は、初のメトロで、ERACMに通い。ディディエは風邪で体調が悪そう。学生たちは自主的に柔軟体操。アヌークが、だんだん如月小春さんに見えてきた。ちょっと似ている。ベアトリーチェは、相撲のように腰割りをしている。先週の集中講義が生きている。今日から2週間で学生たちとディディエと作品づくり。今日は、それぞれが架空の言語で作文してきたテキストのモノローグからスタートし、そこから対話へと移っていく。その後、野村の時間になり、先週つくった2つの「フェイク日本語ソング」を練習し、ブラッシュアップし、さらに、16人がそれぞれの架空の言語を一単語ずつ提出して、新たに新曲を作った。デタラメな意味がない言葉を16も羅列した歌なのに、学生達は熱心に練習し、覚えてしまった。素晴らしい。

夜は、野菜を煮込んでスープをつくり、夕食後はあまり頑張らずにリラックスし、体調回復に努める。風邪がようやく治りかけてきた。