野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

バリガムランの勉強中

タイから帰国してから、移動が多かったのですが、今日は、京都の自宅で作曲。バリガムランとヴァイオリンのための新曲。昨日までも空き時間を使って、ちょっと書き進めていましたが、今日はじっくり時間があるので、一日中、作曲しておりました。バリガムラン演奏家が3人で、それに独奏ヴァイオリンという四重奏で依頼されたので、そもそもバリガムランの楽器のうち、どの楽器を用いるかを考えねばならず、色々な楽器の組み合わせを考えたのですが、結局、レヨンを二人と、ジュブラック一人、という編成になりました。レヨンというのは、ジャワ・ガムランのボナンに似た楽器で、鍋をひっくり返したような楽器で、右手にも左手にもバチを持って演奏します。この両手で演奏できるというのが、決め手になりました。古典から外れてちょっと音をジャンプしたいのですが、それに一番対応できそうなのが、レヨンでした。ジュブラッグというのは、ジャワ・ガムランのスレンテムに似た鍵盤楽器で、筒がついて響きのある楽器。

ということで、バリガムランの楽器に作曲するのは初めてなのですが、徐々に、楽器の感覚をつかめてきて、今日はかなり書き進めることができました。で、音階は、ジャワで言うところのペロッグ・バランという5音音階に相当するものですが、ヴァイオリンが入ることで、この5音音階にしばられずに、アラブ風になったり、和風になったり、色々と音階を変わり、転調していく音楽にしようとしています。ずっと5音音階の楽器を演奏しているのに、錯覚というか、色々転調して聞こえてくる仕掛けです。

夜は、京都のジャワ・ガムラン「スカル・グンディス」の久しぶりの集まりに参加して、ボナンを即興で演奏してきました。そのことも、きっと作曲にフィードバックされることでしょう。曲は、ほぼ完成に近づいているので、明日には脱稿の予定です。