野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

高橋アキさんと再会 ぶつかりピアノ稽古中

本日、両国門天ホールでのリハーサル。高橋アキさん、寺嶋陸也さんのデュオで、神田佳子さんが稀勢の里に捧げて作曲した相撲組曲や、松平敬さん作曲のパフォーマンス性も強いとんとん相撲のような新曲、そして野村の作品など。

個人的には、高橋アキさんと、20年ぶりの再会が嬉しかったです。アキさんと寺嶋陸也さんの壮絶なぶつかり稽古。迫力満点で、素晴らし過ぎる、その方々が、相撲の仕切りとかしていて、夢のような時間でした。野村の20年前の作品も演奏していただき、光栄すぎます。アキさんと20年間もお会いできなかったのは、不思議な縁の巡り合わせの気がしますが、でも、このような形で再会できて、心底嬉しいです。

31年前(1986年)のテレビ番組(メシアンが第1回京都賞の特番)で放送された「トゥランガリ交響曲」の独奏者が、アキさんで、ピアノ演奏の切れ味が鋭く、瞬時にファンになったのでした。

京都の大学に入学してすぐ、アキさんと一柳さんの2台ピアノのコンサートがあり、ジェフスキの「ウィンズボロ紡績工場ブルース(2台版)」、サティ「ソクラテス」、一柳「二つの存在」、松平頼則雅楽の主題による変奏曲などの演奏を聴き、興奮して楽屋まで押しかけてサインをいただいた30年前には、こんな日は想像もできませんでした。

それから、ぼくは、イギリスに行ったり、インドネシアに行ったりして、ガムランの「踊れ!ベートーヴェン」の再演の際に、ホセ・マセダの新曲と一緒のコンサートになり、ホセさんのおかげで、わざわざ東京から京都まで聴きに来ていただいたアキさんと悠治さんに、ぼくの曲も聴いていただくことができ、そのご縁で、光栄にも、2台ピアノの作品を弾いていただくことになったわけです。

その2台の作品を弾いていただいたのが、アサヒビールのロビーコンサートで、ぼくの作品は企業の人々には嫌がられるだろうなぁ、と思っていたら、アサヒビールの加藤種男さん、河村めぐみさんが大絶賛で、その後の熊倉純子さんとの出会いも、御喜美江さんとの出会いも、竹澤悦子さんとの出会いも、全部、あのアサヒビールでの2台ピアノの演奏のおかげだったなぁ、と感謝なのです。あの時、アキさんと悠治さんに、「ナマムギ・ナマゴメ」を弾いてもらっていなかったら、ぼくは全然違う20年間を歩んでいたかもしれないのです。

というのは個人的思い出なのですが、高橋アキさんと寺嶋陸也さんという両横綱による迫力ある取組は、8月3日に両国門天ホールにて、開催されます。昼公演、夜公演とも前売り券は完売ですが、当日券はありますので、是非、是非、お越し下さい。昼公演、夜公演とも、野村誠「相撲聞序曲」(2017)、「ナマムギ・ナマゴメ」(1997)が演奏されます。