野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

モアカムからグラスゴーへ

モアカムの滞在、最終日。朝、ピートのお孫さんのいる保育園に行き、園児たち(2−3歳)にピートと二人で鍵ハモデュオ演奏や、ピートのアコーディオンとぼくの鍵ハモで即興うたづくりをする。30分の楽しい時間。ピートは子どもを喜ばせるのが巧い。家に戻って朝食。「瓦の音楽」の話をすると、こちらの屋根は粘度を焼いた瓦と、石のスレートによる屋根があり、スレートで楽器をつくった話として「The Ruskin Rocks Project」Bobbie Millar著を見せてくれる。19世紀に良い音のする石を探し求めて、そこで石の木琴のような楽器をつくった人がいた。そのことをリサーチして、現代に様々なプロジェクトをした物語。瓦の音楽とリンクできると面白いかもしれない。Wood Craft FolkというバンドをしていたAlan Outramが、2009年に出た日本の雑誌「Ballad」に載っている記事を見せてくれるので、英語に訳す。saitocno名義で活動している人の作った雑誌で、一年間イギリスなどを旅して出会った音楽家らに、家族や子育てなどについてインタビューしているのが面白い。

荷造りして、ランカスターに移動し、丘の上でピートと鍵ハモ演奏する映像を息子のチャーリーに撮影してもらって後、チャーリーの営むお店に寄って(陶芸や服などを売っている)、その後、ピートと路上演奏。様々なストリートフードが出ている。少し小銭が入る。インディアン屋台でベジタリアンカレーをテイクアウェイしてお外で昼食の後、ピートと別れる。また、会おう。電車でグラスゴーへ北上。

グラスゴーに着く。だじゃ研(=だじゃれ音楽研究会)に参加している作曲家のFranの紹介で、Glasgow Improvisers OrchestraのUna McEwanに会う。会うと言っても、今日、彼女はコントラバス4台のライブをするらしいので、それを観に行く。7時スタートのライブなので、6時半に会場に行ったら、全くセッティングもされていないでリハーサル中だった。その後、今日泊めてもらう予定の音楽家のJane Bentleyと再会。ジェーンと夕食をとって後、ライブ会場に。狭い会場で、椅子は5脚ほどで、残りの観客はみんな床に座っている。40人ほどの観客で超満員。コントラバス4台の即興は、様々な音響の重なり合いで、なかなか体験できない響きがつづく。その後、ウナと話す。ウナとジェーンは、どちらもスコットランド室内管弦楽団と仕事したことがあるので、お互いの存在は知っていて、3人で短い時間だが話せてよかった。二番目のグループは、ハーモニウム(+エフェクター)の持続音中心のアンビエントな即興音楽に、無重力のような浮遊するような素晴らしき即興のダンス。3番目は、シタールとタブラによるインド古典音楽。全く違うジャンルが、即興というコンセプトで3つ並んでいる素晴らしきイベント。

ジェーン宅でコミュニティミュージックについて、音楽療法について、オーケストラについて、などなど、語り合って後、就寝。ジェーンの本棚で斜め読みして面白かった本。

"Community Music in theory and in practice" by Lee Higgins (Oxford University Press)
"Music as Social Life" by Thomas Turino
"101 music games for children" by Jerry Storms
"Deep Listeners' by Becker

Community Music: In Theory and in Practice

Community Music: In Theory and in Practice

Music as Social Life: The Politics of Participation (Chicago Studies in Ethnomusicology)

Music as Social Life: The Politics of Participation (Chicago Studies in Ethnomusicology)

101 Music Games for Children: Fun and Learning With Rhythm and Song (Smartfun Books)

101 Music Games for Children: Fun and Learning With Rhythm and Song (Smartfun Books)