野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鍵ハモ三昧2

ファシリテーターの青木将幸さんと鍵ハモ奏者の野村誠の進行で進めていく「鍵ハモ三昧」。2日目の朝は、鍵盤ハーモニカを手にして、慶野松原の海岸を散歩。神社で祝詞をあげる青木さん。2拝2拍手1拝して、海岸で漂着瓦を拾い、海を眺めながら、鍵ハモを自由に吹く。ぼくは、即興で慶野松原追分という感じで、演奏。一人の方が、ピアソラリベルタンゴを吹き始める。すると、そこに瓦でできたステージが現れ、青木さんが「ここで演奏しましょう」というので、ステージ上でリベルタンゴを吹く。その後、瓦工場の脇を通り、瓦を積んだ大型トラックと何度かすれ違い、中学校の脇を通り、額縁と珈琲のお店Nekiへ。本日の朝食会場。こちらでモーニングをいただく。BGMにCD「ノムラノピアノ」
が流れている。有り難い。朝から、音楽教育について、鍵ハモについて、山田耕筰の先駆的活動/女性関係/借金/戦犯などについて、明治/大正期の日本の技術力と楽器生産などについて、などなど、非常に興味深い議論が繰り広げられ続ける。お店で、野村の「鍵盤ハーモニカ・イントロダクション」の演奏などを披露し、朝のセッションを終えて、しなどあんに戻る。

しなどあんに戻り、「季刊ケンハモ」という2004年から2006年にかけて4冊発刊された鍵ハモ専門誌を紹介する。青木さんの提案で「8分間読書法」が実施される。各自8分間で今ある本を斜め読みし、その後の8分間で、それぞれが読んだ内容について語り合う、という方法。青木さんのファシリテーションの手法の体験も、面白い。鍵ハモの歴史、10年前の雑誌で提案されていた「鍵ハモの未来」の検証、鍵ハモのメンテナンス方法の詳細などなど。そこから生まれた疑問点、「鍵ハモのチューニング方法」、「リードの手入れ」などを実演つきで解説。ホーナー社の楽器についての説明。及び、メイカーごとの比較。音楽教育への展開について、などなど質問に答えていく。

瓦の町、津井に移動し、津井のトンネル壁画を鑑賞の後、青木さんのお宅のダルマ窯を見学し、青木家の屋根上に昇り、津井の町を眺め、瓦工場の煙突を眺めて後、お昼ご飯。日本センチュリー交響楽団とのプロジェクトの話など、鍵ハモ以外の音楽談義も続いて後、琴屋にて、瓦楽器を体験。その後、鍵ハモで自由に即興をする体験をベースに、各自が単音を担当して、偶然の和音ができるようにしながら、そこで交代でアドリブソロを回す、という鍵ハモの合奏ワークショップも開始。鍵盤ハーモニカの初心者である青木さんが鍵ハモ歴20年以上の人や音大教授と対等に参加できるプログラムとして考える。各自が4音を選んで演奏。黒鍵のみ。白鍵のみ。などルールを変えていく。ジャズ風のコード進行にして、各自単純な声部を担当して、同様にやってみるなど、鍵ハモ合奏を続ける。そうした中で、ソプラノやバスなど、様々な音域の楽器も紹介。産業文化センターで瓦の展示や瓦の歴史のビデオなどを鑑賞して後、しなどあんに戻る。

その後も、NHKで昔やった鍵ハモの番組を鑑賞したり、水戸芸術館で行った鍵ハモのワークショップで作った曲の映像を鑑賞したり、p−ブロッの演奏も見たり、楽器の解説を続けたりしていく。夕食の鍋を囲み、有住さんのオリジナルソングの実演を次々に聞いて、深夜まで音楽談義が続いていく。