野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

浮音模様

かなもりゆうこ(美術)、やぶくみこ(グンデル/作曲)、松澤佑紗(箏)による「浮音模様」@ながらの座・座、の最終日を聴きに行く。本日は、グンデルと箏によるコンサート。プログラムは、やぶくみこ作曲の新作4曲と、やぶくみこ+松澤佑紗による即興演奏、松澤佑紗による古曲の演奏の6曲。大変、素晴らしいコンサートでした。

1)箏は、日本的なものを表現するために記号的に使われているわけでもなく、グンデルがインドネシア的なものを表現する記号として用いられているわけでもなく、日本とか、インドネシアとか、そうした国や文化のことからは、自由な音楽があったこと。

2)やぶくみこが、新曲を4曲も書き下ろし、作曲家として多角的に見える企画だったこと。こうした作曲家の個展は、(特に若手作曲家では)なかなか催されることがないが、どんどんやっていったら良いと思う。

3)グンデルと箏という楽器の特性上、グンデルは、叩いてから遅れて音が出てくる傾向があり、箏は(爪で弾くと)アタックが速い。よって、普通に同時に演奏すれば、タイミングがずれて聞こえる可能性が高い組み合わせなのだが、二人の演奏家は、その辺の調整も含めて、うまく音色を解け合わせていたと思う。

4)展示、庭、照明、衣装など、聴覚だけでなく、視覚的にも楽しめる要素がたくさんあった。お茶も給仕された。緊張感を楽しみ、演奏者を集中して聴く時間だった。

ぼくも、いつか箏とグンデルの2重奏を作曲してみたい、と思った。