野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

せっしゃエンリコでござる

朝起きて、島袋くんのための作曲を1時間ほどして後、出かける準備をして、ながらの座・座へ。9月11日のコンサート「今の音楽 居間の音楽3」のためのリハーサル。

エンリコ+やぶ+野村の声のアンサンブル「せっしゃエンリコでござる」をやってみる。笑い転げる3人。可笑しい。続いて、箏の松澤佑紗が加わっての「きせかえコンチェルト第2番」。箏の音色が美しく、鍵ハモと打楽器が加わってのアンサンブル。曲が複雑なので、なかなか難しく何度も練習するのですが、楽しい曲なのです。だんだん、アンサンブルが噛み合ってきました。続いて、グンデルソロの新曲「山寺にひびく音」。これは、ガムラン音楽劇「桃太郎」の第一場に登場するモチーフを題材に書いたグンデルソロ曲です。初めてグンデルソロの曲を書きましたが、この楽器の可能性を色々感じます。そして、箏の独奏「りす」は、2000年に書いた作品。書道をテーマに書いた曲。座・座という空間で体験してみたかった曲であり、松澤佑紗の演奏で体験してみたかった曲でもあります。動きが響きになり、響きが動きになる。そして、「ポーコン第3楽章」は、3人の打楽器と箏。野村はタンバリンを担当するのですが、タンバリン難しい。作曲したのは自分なので、文句は言えませんが、神経を使う曲であります。

ということで、会場のセッティングなど打ち合わせも順調。帰宅後、プログラム作成し、その後、島袋くんのための作曲に取りかかろうと思うが、ここでスイッチが切れて、就寝。

プログラム

1 野村誠作曲「鍵盤ハーモニカ・イントロダクション」 
演奏:野村誠(鍵盤ハーモニカ)

2 野村誠作曲「せっしゃエンリコでござる」(2016) 
演奏:野村誠(声)、Enrico Bertelli(声)、やぶくみこ(声)

3 「即興演奏」 
演奏:松澤佑紗(箏)、野村誠(鍵盤ハーモニカ)

4 野村誠作曲「山寺にひびく音」(2016) 
演奏:やぶくみこ(グンデル)

5 野村誠作曲「きせかえコンチェルト第2番」(2016) 
演奏:松澤佑紗(箏)、野村誠(鍵盤ハーモニカ)、Enrico Bertelli(打楽器)、やぶくみこ(打楽器)

休憩

6 野村誠作曲「りす」(2000) 
演奏:松澤佑紗(箏)

7 野村誠作曲「まえまちアートセンター」 
演奏:野村誠(鍵盤ハーモニカ)、Enrico Bertelli(打楽器)、やぶくみこ(打楽器)

8 「テーブルデュオ」 
演奏:やぶくみこ、Enrico Bertelli

9 野村誠作曲「ポーコン第3楽章」(2011)
演奏:松澤佑紗(箏)、野村誠(打楽器)、Enrico Bertelli(打楽器)、やぶくみこ(打楽器)

10 野村誠作曲「手拍子のロンド」
演奏:松澤佑紗(箏/手拍子)、野村誠(鍵盤ハーモニカ/手拍子)、Enrico Bertelli(打楽器/手拍子)、やぶくみこ(打楽器/手拍子)

 本日は、ご来場いただき、誠にありがとうございます。「今の音楽 居間の音楽3」とは、どんな趣旨か、簡単にご説明させていただきます。これは、簡単に言うと、暴走する中年作曲家を中心に、若き才能がながらの座・座に集い行う、トンデモナイ音楽会なのです。これは、本当に面白いコンサートになるだろうと、心の底から思っています。
 昨年も、座・座で「今の音楽 居間の音楽2」をやりました。3人の才能溢れる若き音楽家(エンリコ・ベルテッリ、松澤佑紗、やぶくみこ)の演奏が、本当に素晴らしく、変な言い方ですが、このような感性の人々が音楽を続けていってくれるのならば、ぼくは、自分の人生の終わりを安心して迎えられると思ったのです。自分の肉体が終わりを告げても、ぼくの愛する音楽が次世代へと語り継がれていくという安心感。そう感じさせてくれた3人の音楽家と、こうして、ながらの座・座で一緒に時空を共有できていることは、本当に奇跡のような貴重な時間だと思いました。
 そこで、今年の「今の音楽 居間の音楽3」では、ぼくは、この3人の音楽家をサポートしていく役割に徹したいと思っていました。ところが、やぶくみこさんから「野村さんには、どんどん前に出て欲しい。野村さんの音楽を待っている人は、いっぱいいるんです。野村さんが主役にならずに、誰が主役になるんですか?」と、言われました。
 そして、座・座の橋本敏子さんが、「私は、暴走老人として暴走していかないといけない」と言う力強い声を聞いた時、「あなたも、暴走中年になりなさい」と言われている気持ちになりました。覚悟を決めようと思いました。ぼくは、暴走中年になろうと。暴走中年の野村誠の創造力をフル稼働させて、自分の限界を飛び越えて、新たな音楽を生み出していこうと。こうして、「今の音楽 居間の音楽3」は、野村誠の作曲作品に大きなフォーカスを当てることになりました。これは、暴走中年の門出の音楽会なのです。
 コンサートだけでフルボリュームなのに、さらに、本編終了後に「音楽家と話そうー野村誠のアタマの中を覗く」というコーナーもやることになりました。これもまた、楽しみなので、皆さんからの活発なご意見ご質問にも応じようと思っています。ナビゲーターの佐藤千晴さんとのやりとりも、本当に楽しみなのです。
 さあ、3人の若き才能たちとリハーサルが始まりました。この3人、本当に素晴らしいセンスの持ち主たちで、いっぱいの可能性を秘めている。ぼくは、本当に幸せだと思います。そして、願わくば、この才能とこうして共演できる喜びを糧に、永遠に創造のエネルギーを循環させて、暴走を続けていきたいと思うのです。

 
9月11日 14:00− 詳細はこちらです。
http://nagara-zaza.net/2016/000304.php

9月12日には、京都で、英語+音楽のイベント「Ancient Dialect」@恵文社
9月13日は、豊橋で、エンリコとのデュオで即興ナイトをやります。