野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

モヤモヤとザワザワ

本日は、京都造形芸大のアートプロデュース学科4回生の新井優希さんの企画で、アートゾーンに行きました。

昨日から、まっこい(=山本麻紀子さん)が、造形大の学生さんや京都芸大の学生さんなども巻き込んで、ジオラマ制作をしています。これは、彼女が水戸に伝わる巨人伝説「だいだらぼう」と、ペンザンス(イギリス)に伝わる巨人伝説「ホリバーン」をもとに、水戸とペンザンスの小学校でワークショップをして、巨人を様々な形で想像し感じる活動をしてきました。その最新のものが、昨年こどもたちと創作した物語。今回は、その物語をベースにしたジオラマを創作。

徹夜で2日がかりで、紙粘土や段ボールや新聞紙や様々な画材などを駆使して、ブルーシートやドライアイスも登場して、水戸の公園やイギリスや日本の地図や、島やお城や、人魚や海賊や、様々な物が作られていました。これを、小型カメラで撮影しスクリーンに投影し、それに音をのせて、物語を体感してみる試み。

巨人の目線を体験するつもりでやりましたが、色々、想定しない出来事が色々生まれてきたのが、面白かったのです。まっこいとは、昨年12月に初めてお会いしてから、何度も会って話をしてきたわけですが、今日、一緒にライブパフォーマンスを撮影してみて、変なザワザワするものが、ザワザワしていて、ムズムズしていて、モヤモヤとしている形容し難い感じがありました。この形容し難い感じこそ、目に見えない存在(=巨人)であり、その捉えられない存在を、空をつかむように追いかける行為/体験が面白かった。

コンセプトが明解で、言葉で説明しやすいアートプロジェクトが多数ある中で、モヤモヤとした不確かな何かを、作家の強い思い込みと信念を頼りに捕まえようとするこのような試みは、貴重ですし、大切にしていきたいものだ、と思いました。


http://makikoyamamoto.com