野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

はじまりますよ

京都は着実に冬になってきています。本日は、鍼灸に行って体調を整えてもらって後、冬用の厚手の靴下を購入したり、ワークショップで使う小物楽器を入れるケースを買ったりしました。

いしいしんじさんの小説「悪声」は、本当に面白く、音楽についての小説であり、世界と対話することの小説でもあるので、読むだけで感覚が開いてくる本です。じっくり味わいたく、まだ60%ほどしか読んでいないのです。少しずつ味わうように読んでいます。



10月に刊行になった「音楽の未来を作曲する」の一番最後のページに、「はじまりますよ」の一行を加えたのですが、実は、この一行は引用でして、2002年に発表した「せみ」というCDがあって、その中に収録した「しょうぎ作曲」による「せみ小倉」という30分の大作があり、その最後の最後に出てくるフレーズであります。是非、この本を読んで、このCDを聴いていただきたいものです。ちなみに、「せみ」というCDには、ディスクを外した状態で、背表紙の裏側を見ると、そこに小さい字で、「semiconductor 半導体 semifarming 放置飼育 semiliterate 読み書きがわずかしかできない」と書いてあったり、ジャケットの裏側にウォーリーを探せのように、こっそりジャケット表紙のワインオープナーがこっそり隠れていたりします。今思うと、囁かな仕掛けが多過ぎて、ほとんど誰も気付かなかったのではないか、と思います。いろいろ、助成金の申請などで、バタバタする今日この頃でしたが、改めて「はじまりますよ」という気分になりながら、「せみ」を思い出しました。