野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

不知火諾右衛門の墓/いしいしんじの100ものがたり

JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)の鶴見幸代さんが我が家に宿泊。今朝は、JACSHA世話人の里村真理さんと3人で、第8代横綱不知火諾右衛門の墓に行った。不知火諾右衛門(1801-1854)の墓参りをし、せっかくなので鶴見さんと共に不知火型土俵入りを奉納させていただいた。横綱土俵入りをもとにしたヴィブラフォンの曲を書いたのは2年前。會田瑞樹さんのために書いた《相撲ノオト》(2019)を作曲していた時は、すっかり身体化されていた横綱土俵入りの動きも、うろ覚えになっていた。復習しなくっちゃ。

 

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熊本市現代美術館に、いしいしんじさんの朗読レクチャーを聞きに行く。いしいさんの「その場小説」は何度か立ち合ったことがあり、その場で即興的に小説が生まれるスリリングな瞬間は出産に立ち合うような体験だが、今回は、既に書かれた小説をいしいさんが朗読するというもの。こちらは、作曲者による自作自演といった感じの朗読だった。人形劇で自作の人形を操りながらのパフォーマンスは、いしいしんじ劇場という感じで、その場で舞台美術を描き、脳内で人形の動きと言葉と舞台美術を再構築して聞く演劇。聞くだけで熊本のあちこちの風景や時代に連れていかれる。熊本にある風景がいしいさんというフィルターを通すことで、物語になってしまう。そして、企画展をまた見ちゃった。今日も触発される時間をありがとう。