野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アルフォンソ10世

自宅にいる時の日課は色々あって、洗濯物を干しながら、中国語会話のCDを聴いて、中国語を耳で勉強する、というのもありますが、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」とモンポウの「Musica Callada」からその日の日付(今日であれば14曲目)の曲を弾く、というのも日課です。そして、モンポウに関しては、その日に弾いた中で気になった和音を一つだけ選んで、その和音による即興演奏をする、というのも日課になっています。

で、モンポウを毎日弾いていると、モンポウについての本を読みたくなり、かつてイギリスで学んだヨーク大学の音楽学部の初代学部長だったウィルフレッド・メラーズが書いているモンポウについての本を、読み始める。

Jardin Retrouve: Music of Frederic Mompou, 1893-1987

Jardin Retrouve: Music of Frederic Mompou, 1893-1987




この本では、モンポウについて論じる前に、モンポウを生んだスペインという国についての第1章がある。モンポウの音楽の背景として、スペインの歴史を読むことになる。ここで、13世紀のアルフォンソ10世が編纂した400曲の歌曲集「Cantigas de Santa Maria」の話が出てくる。アルフォンソは、数学者で天文学者で、詩人であり、画家であり、音楽家であったそうで、キリスト教イスラム教とユダヤ教の共存を説いた王様で、この歌曲集がラテン語ではなく、ガリシア語で歌われ、世俗音楽と神聖な音楽の境界を越える歌曲集。

現存する楽譜はネウマ譜であるため、ピッチは分かるが、リズムについては分からないし、楽器構成も書かれていないので、色々な解釈があり得るようです。

で、モンポウは、自作の中で「Cantigas de Santa Maria」から色々なメロディーを引用しているらしい。しかも、どこまでが引用でどこからが創作と、モンポウが言っていないらしいので、厄介。ということで、モンポウの音楽に潜む中世スペインの音楽をまずは聴いてみるtことに。これが、非常に面白い。

ということで、今日は、13世紀のスペインの音楽を聴いています。