野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ヴィオラ協奏曲になった

浅草のホテルをチェックアウト。東京は大雨。東京駅へ向かう午前8時の山手線は満員。東京のラッシュ時は本当に人が多い。新幹線の中で、7月18日(高松)、19日(京都)、31日(東京)で初演される箏+アコーディオン+ピアノのための新曲「六段→交段→空段→穴段の調」のプログラムノートを書いて、その後、本日の夜、大阪でのワークショップを準備すべく、前回のワークショップで作ったメロディーから、いろいろアレンジを考え譜面を書く。

昼すぎに京都の自宅に戻り、今夜のワークショップのために、また譜面を色々書いて後、大阪へ。日本センチュリー交響楽団の若者就労支援音楽ワークショップ「The Work」の4回目。地域創造プロデューサーの児玉さん、ヴァイオリニストの東さんなど見学者もいる。

いつも月曜日の夜に開催していたワークショップ。今日は金曜日。若者の参加率が今日だけ悪く4名。最近3名が就職が決まったこともあり、また就職活動の関係で来られなかったりとの事情があり、参加率低い。色々準備してきた内容を白紙にして、この人数で効果的な内容へと即興的に変更していく。

前回作ったメロディーをトーンチャイムで演奏。その旋法の音だけを使った別の旋律を作ってみる。それがいつしかゲームのように展開する。参加者の皆さんが、どんどん提案してくれるので、予想外の方向に展開していく。創造的な場が生まれているのは嬉しい。その後、玩具楽器ばかりで合奏してみたい、との提案があり、演劇のように会話するように演奏してみてはどうか、と提案があり、それならばと1989年にやった初期の共同作曲「はないちもんめ」をやってみたりする。こんなことをやってみれたのは、随分、信頼関係が生まれているのだなぁ、と思う。

一年前の「The Work」に参加していた若者で、現在は家具職人になったIくんが見学に来た。こうした再会は嬉しい。「7月24日のコンサートをどのような形で迎えたいか」、について、質問する。ワークショップの参加の方々から、なかなか具体的な言葉は出ない。難しい質問をしていると思う。でも、こうした答えのない質問、難しい質問に直面することは、創作のプロセスにいつもある。ぼくは、一体、何を作ろうとしているのか?と思い出す作業。

最後は、「ハローライフ協奏曲」を練習した。ソリストには、見学に来たIくん。ヴィオラを薦められて、生まれて初めてヴィオラを触るのに、いきなり即興で協奏曲のソリストをする。本当に無茶ぶりです。でも、本当に素敵なコンチェルトになった。帰り道の電車の中で、ヴィオラの森さんが興奮して語っていた。