野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

グラーツで演奏されます

オーストリアの音大のアコーディオン科教授をしているヤンネから、今月16日(4日後だ!)に、野村誠作曲「FとI」を演奏すると連絡がきました。2001年にアコーディオン版を作曲して、16年の月日が経ちますが、このアコーディオン版だけでも、おそらく100回以上は上演されていることでしょう。Matic LorbekさんとNikolaj Zverさんのお二人が演奏するそうですが、この人たちは、ヤンネの学生なのでしょう。有り難いものです。

香港のベリーニから連絡があり、マコトがレジデンスする予定の部屋が、間もなく完成するよ、とのこと。来年の今頃は香港で何をやっているのでしょう。これまた、有り難い話であります。

昨日より、チェロ協奏曲「ミワモキホアプポグンカマネ」の第2楽章「アプポ」の作曲に取りかかっています。チェロ協奏曲と言いますが、チェロ、ヴァイオリン、ヴィオラコントラバストロンボーン2、ピアノという編成で、どうしてこの編成になっているかというと、ぼくの希望では全くなく、ワークショップに来てくれている日本センチュリー交響楽団のメンバーが、この楽器の人だったからです。

で、この「ミワモキホアプポグンカマネ」は、若者就労支援音楽プロジェクト「The Work」のワークショップの内容に基づいて、野村が作曲し、8月23日に行われる北口大輔チェロリサイタルで世界初演になるわけです。「ミワモキホアプポグンカマネ」という謎の言葉は、ワークショップの初回に生まれました。

このチェロ協奏曲は、全部で4楽章になることは、ワークショップ参加者たちに決めてもらっていて、この第2楽章「アプポ」は、ニ長調であり、アップテンポであり、上昇するメロディーで始まり、「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ぷっ、ぽー」というリズムもあるのですが、この作曲がおそらく全4楽章の中で一番難しい。なぜかと言うと、ニ長調で、こういうリズムでと決められているので、いくら考えても「なんちゃってモーツァルト」になってしまいそうで、しかし、「なんちゃってモーツァルト」のニ長調は、ワークショップで出てきた色々なアイディアと、全く馴染まない。で、どうしたものかと思っていましたが、よくよく考えると、野村のピアノ曲「たまごをもって家出する」も出だしは、ニ長調。だんだん、自由に発想できるようになってきて、「なんちゃってモーツァルト」を作曲しているうちに熟成されて、野村の音楽になっていく、ということをしようと思えてきまして、最初は、本当に「なんちゃってモーツァルト」だったのですが、随分、変わってきて、楽しくなってきました。

それにしても、ぼくの人生の中で、協奏曲を結構書いています。しかし、鍵盤ハーモニカ協奏曲をまだ書いていないなぁ。いつか書かないと。。。。

2001年 ピアノと管弦楽のための「だるまさん作曲中」 (ピアノ+2管編成のオーケストラ)
2007年 レクチャー協奏曲「幻覚協奏曲」 (レクチャー+吹奏楽+即興演奏)
2008年 アコーディオン協奏曲 (アコーディオン+弦楽オーケストラ)
2011年 ヴァイオリンとポータブル打楽器のための協奏曲「ポーコン」 (ヴァイオリン+打楽器アンサンブル)
2011年 「きせかえコンチェルト」 (ヴィオラ+鍵ハモ+打楽器)
2017年 チェロ協奏曲「ミワモキホアプポグンカマネ」 (チェロ+室内アンサンブル)