野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

狸囃子→The Work

午前中に、竹澤悦子さんとのリハーサル。6月6日/7日に世界初演になる「狸囃子」。「まだまだお聞かせできる段階ではないのですが、」と竹澤さん。スカイプで聴かせていただきましたが、既にかなり素晴らしい出来映え。三味線も素晴らしいが、歌も素晴らしい。演技力もあって、すっかり聞き惚れてしまいます。初演が本当に楽しみです。

夜は、大阪へ。日本センチュリー交響楽団の拠点、豊中の緑地公園にあるセンチュリーオペラハウス内で、オーケストラ楽団員と若者たちでの共同作曲プロジェクト「The Work」の2年目の第1回。(見学、取材など興味ある方は、日本センチュリー交響楽団にお問い合わせ下さい。)

ぼくは、このプログラムのナヴィゲーターで、ワークショップを進行し、作品をまとめていく役割です。センチュリー響は、体験プログラム用に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、トロンボーンなどの楽器を持っているので、こうした楽器を初めて触っちゃいました。そこで、楽器の演奏の仕方や曲を教えるのではなく、いきなり即興で音を出す。うまく操れない楽器ですが、それでも音は出るので、表現されるものがあったりします。そうした中から、「アインシュタインの苦悩」という非常に抽象的なチェロの二重奏が誕生したり、「ターザン」や「おもちゃ」、「キッチン」などのキーワードをイメージさせる音楽の種子が芽生えてきました。

また、「日本センチュリー交響楽団」と同じリズムで韻を踏んだ言葉を考えて、歌詞を作ったりもしました。大学のアートプロデュース学科の学生さんがいたり、卒論でオーケストラのコミュニティプログラムについて研究しようという学生さんがいたり、仕事を辞めたばかりの方がいたり、異種格闘技のプロモーターの方がいらしたり、20代の多様な若者たちと、30〜50代のオーケストラメンバーが交流する場が、なかなか愛しいです。そして、無邪気に初めてトロンボーンやチェロを鳴らす音色に、時々ドキッとさせられました。

ラガヴーリン62 箏・三絃コンサート」(6月6日 京都)
日時:2015年6月6日(土) 14:00開演
場所:京都市国際交流会館イベントホール(京都市左京区粟田口鳥居町2−1)
http://www.kcif.or.jp/HP/access/jp/
料金:前売3,000円、当日3,500円
問い合わせ/チケット取り扱い 075−441−6053(アサノ楽器)、075−761−6523(小池典子)
出演:梅辻理恵・小池典子・竹澤悦子・田中美香・轟木美穂・長谷川愛子・村澤かをり 

   貴音由多加(友情出演)、藤田天山・稀音家温子(賛助出演)

ナビゲーター:長谷川慎

■ プログラム
宮城道雄:谷間の水車
初代杵屋長五郎:出口の柳(作詞宇治加賀掾
沢井忠夫:風の歌
野村誠:狸囃子(作詞木下裕一)委嘱初演
山田抄太郎:黎明
宮城道雄:白玉の(作詞佐佐木信綱
岸野次郎三:吼噦(作詞多門庄左衛門・箏手付宮城道雄)

後援:アサノ楽器店

「タケザワエツコ へちま ライブツアー2015 with向島ゆり子」(6月7日 近江八幡
日時:2015年6月7日(日) 18:30開演
場所:酒游館(滋賀県近江八幡市仲屋町中6)
料金:2,500円+ドリンク代500円
問い合わせ/チケット取り扱い 0748−32−2054(10〜17時)
sakedelic@shuyukan.com
出演:竹澤悦子(箏・三絃・歌)、向島ゆり子(ヴァイオリン)、野村誠(ピアノ)

竹澤 悦子(箏、17絃、地歌三味線)
石川県七尾市に生まれ、8歳より生田流箏曲を学ぶ 沢井忠夫、沢井一恵、中井猛の各氏に師事。東京芸術大学音楽学部卒業 
'87年 沢井忠夫合奏団CD「箏」(コロンビア)文化庁芸術作品賞、‘98埼玉県芸術文化祭奨励賞を受賞
'86年 箏グループ「どんぐり」を結成'93年引退まで20回以上の自主コンサート 
'89年より国立劇場主催公演に出演 
'93年 KOTO VORTEXを結成 箏アンサンブルの可能性を追求し、委嘱新作の発表、 '94、'96年CD制作
'94年 板橋文夫(p)ユニットに参加 '95年CD「游」発売 
'96年「独箏ーひとりごと」と題しソロシリーズを開始
'99年オーストリアのシュタイアーマルク秋芸術祭にて、新作演劇(ウルリケ・オティンガー演出)の音楽を担当(音楽監督田中悠美子) 
‘02年音楽と映像のコラボレーションユニット「FUTON LOGIC」(おおたか静流他)を結成03年ロンドンICAにおいて日本人初のライブに成功 
‘03、’04年金沢市民芸術村ミュージック工房主催、筝の可能性を探るコンサートシリーズ「コンタクト」を開催 
‘05年「日本伝統音楽研究会」を率い、ドイツ各地を公演 
'07年川嶋哲郎(ts.)とデュオCD「Passion of Asia」を発売
’08年ポーランド・ポツナン市、ビエンナーレにてコンサート。
`09年1月、日本国際交流基金・アジアソサエティNYの主催によりN・Yにて毎年行われる世界最大の芸術見本市APAPに出演、ヒューストン現代美術館にて公演。 4月クロノスカルテットのプロデュースによる、テリー・ライリー「IN C」カーネギーホール公演に出演。
’10年西空麗藝團主催、『邂逅』金沢公演にて 武元賀寿子(ダンス)と共演。12月市川交響楽団60周年記念し、大塚茜の新作、箏協奏曲のソリストを務める。

ジャンルを超えたさまざまなアーティストとコラボレーションやライブ活動、演奏を国内外にわたり展開している。古典から現代まで幅広くこなす演奏力には定評があり、声を伴う作品が特に注目されている。そのほか福島大学金城学院大学有明教育芸術短期大学非常勤講師、 沢井箏曲院師範として後進の指導にあたり、小中高の学校公演、ワークショップ等も多く教則本「ネオコトアカデミー初級」(音楽之友社)、「箏・初級」「中級」(楽音会出版)に執筆、作曲も行っている。http://www16.ocn.ne.jp/~et-koto/

木ノ下裕一
1985年和歌山市生まれ。2006年に、自ら主宰する木ノ下歌舞伎を旗揚げ。様々な演出家とタッグを組みながら歌舞伎演目を現代演劇に作り直して上演している。2014年にはKYOTO EXPERIMENT2014公式プログラムとして5時間に及ぶ大作『三人吉三』を上演。2015年には代表作『黒塚』を全国5ヵ所でツアー公演するなど意欲的に活動している。その他古典芸能に全般に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。現在博士論文執筆中。研究テーマは「武智歌舞伎論〜近代における歌舞伎新演出について」。