野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

セッションと独り相撲

昨夜、荷作りをすませて、いよいよ今日から東京(千住)です。朝、無事にガンサデワ御一行様6名がインドネシアより到着した模様。続いて、タイからパム(音楽家)とアン(ダンサー)が到着したようで、ほっと一安心。天気図を見ると、台風19号は微妙な位置にいる。10月12日の「千住の1010人」の日に、東京直撃はないだろうが、東京に雨雲をもたらす可能性がある。京都は何とも美しい晴れ空。「ハレルヤ」という曲を作って10月12日の足立区が晴れるように祈願して演奏した方がいいのではないか、と思う。または、ヘンデルの替え歌でも良い。

京都のHAPSで企画した「相撲セミナー」の告知が開始になりました。特に12月16日の第3回は、元大相撲力士の一ノ矢さんをお招きするので、是非、お越し下さい。

http://haps-kyoto.com/our-school/ai1ec_event/nomura_sumo01
http://haps-kyoto.com/our-school/ai1ec_event/nomura_sumo02
http://haps-kyoto.com/our-school/ai1ec_event/nomura_sumo03

反閇(へんばい)とは、地面を踏みしめ、呪術的な力で悪い神を沈静化する力があるというらしい。相撲は四股を踏むのも、同様の効果があるのだろう。和歌森太郎の「相撲の歴史と民俗」には、


人と神の化現としての河童に対し、人が祭を行い、これを鎮めるとともに、実際には独り相撲の形で祭り手がこれと相撲をとるように演技し、そして精霊を鎮圧することによって、あとの農事を自分達の希望通りに進めようというのであった

と書いてあるらしい。大相撲大阪場所が開催されなかった2011年3月と、その後、津波、台風、大雨など、水害が続いていることが気になり、プールで事故死した杉山くんの供養もしたい。とにかく四股を踏んで河童を鎮めて、台風を逸らせないだろうか。

新幹線の車内で、メメットの曲に1パート書き足す譜面を書く。京都は快晴だったのに、関東地方に来ると曇天。それでも、到着間際にビル群の東空に昇る満月が妙に美しい。あ、今日は皆既月食だった。

山手線、常磐線の車内からも満月を見ようとするが、満員過ぎるし、高層ビルが並んでいて、無理。北千住駅から宿泊所への道中、月が微かに見えて、既に部分月食が始まっている。大都会の月食。前回皆既月食を見たのは、2011年6月、インドネシアの深夜だった。

夜は、KNOCKにて、セッションナイト。皆既月食になった頃にスタート。だじゃ研バンドのだじゃれソング6曲で始まり、ガンサデワの演奏。そして、そこに佐久間新さんとアンが舞踊で、アナン、パムがタイの楽器で加わり、滞空時間を主宰する川村亘平くんも声と太鼓で加わり、混沌とした音と舞踊の唸りが生まれてくる。それは、まるで3年前にジョグジャで行った日本の震災のためのイベントでの即興を彷彿とさせた。ぼくは、四股を踏んだ。東南アジアの友人達の到来を喜び、そして、河童の鎮静化を祈って、10月12日の1010人のコンサートが安全で無事に行われることを祈って、四股を踏んだ。

タイのアナン+パムによる演奏の後、川村亘平くんとデュオをすることになった。インドネシアで修行して後、様々なセッションを繰り返している亘平くんは、本当に素晴らしいアーティストであり、共演していても声も太鼓も一音一音が力強い。この貴重な時間を存分に楽しんだ後、また、次々にセッションに誘い込み、また、凄いセッションになった。黄色のあいのてさんが、このセッション全体のリズムをこっそり支えていたりして、曲の終わりにも誘導してくれた。

これで終演かと思ったところで、TASKEとのデュオ。18年ぶりに「三宮メモリーズ94」を彼と演奏。不思議とあの時に作ったコードを18年間演奏していないのに、覚えている。一度身体に入ると忘れないのだなぁ。この静かな歌に、佐久間さんが静かな舞踊で色を添えていた。美しかった。「ポカさんどうも」と「ファイヤー音頭」を歌って、今度こそ終演。天才的なシンガー/ソングライターのTASKEは、10月12日に「踊れ!ベートーヴェン」の中間部分に登場し、彼のオリジナル曲を熱唱する予定。

いよいよ、「千住の1010人」まであと4日。台風さん、もう少しだけ足取りを遅めて下さい。

9日:倉品さん、池田さんとのリハーサル/打ち合わせ 夜は国際交流基金でのトーク
10日:ラッキィ池田さんの取材もあって、夜はリハーサル
11日:リハーサル
12日:リハーサル後、本番

http://aaasenju.wix.com/senjuno1010nin