野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

砂連尾さんのお灸レボリューション

「砂連尾÷野村誠」公演2日目でした。たくさんの方々にご来場いただき、本当にありがとうございました。

終演後のアフタートークでは、山下残さん(振付家)をゲストでお迎えしました。それにしても、「復興ダンゴ」60分、「家から生まれたダンス」40分と舞台に出続けて、まだアフタートークでも舞台に出るのかと思いましたが、結局55分の非常に濃厚なトークになりました。

山下残くんが2001年に作ったソロダンス作品「足を喰う犬」で、ピアノを弾きまして、ピアノとソロダンスで、対峙しました。がっつりピアノとダンスで作品を作ったのは、残くんが初めてで、今回の砂連尾さんが2度目ですね。

「復興ダンゴ」とか「家から生まれたダンス」のような作風で、手ぬるくないか?鋭い批評性を持つて社会問題を炙り出す舞台になり得るのか?憤りや怒り、苦悩を強度を持って提示することを避け、美しい物語に回収していないか?

という問いについて、語り合いました。これが非常に面白い(どういう話をしたかは、敢えて省略しますので、皆さん各自で考えてみて下さい)。ただ、最後の着地点は、お灸のように患部に直接作用させるのではなく、間接的に(しかも)じわっとアプローチするそんな「お灸芸術」でこそ、世界を変革していけるのではないか、でした。

本日の公演を観て、作曲家の近藤浩平さんから、「野村さんは、リゲティよりもシュトックハウゼンよりも、樋上さんの影響を受けている」と感想をいただいた。樋上さんとは、老人ホーム「さくら苑」に入居するお年寄りの一人で、1999年から続く野村誠の「お年寄りとの共同作曲」に、ほとんど全てに出席している人だ。樋上さんの影響を受けているというのは、非常に嬉しい。