野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

チェンマイ1日目

早朝の出発でチェンマイへ。ノックエアーという航空会社は、機内で配る食事が紙袋に入っており、乗客が一斉にそれを開く音が、前方座席から徐々に移動し、本当に素晴らしい音楽になっていた。アナンの教え子のフルート奏者のスミさんが迎えに来てくれて、朝ご飯を食べたが、ここで麺を打っている音が、素晴らしい音楽で、見学させて欲しいと言ったが、店の秘伝のレシピを盗まれると思ったのか、断られる。

それからパヤップ大学へ行き、ジョー(Joe Bring-kop)の「アジア音楽」の授業へ。ジョーは、アナンの旧友で、作曲家/民族音楽学者。で、授業を見学するのではなく、急にいろいろ話をすることになり、即興演奏に。鍵ハモ演奏からピアノになり、ピアノの鍵盤を「地球の歩き方」で演奏しているうちに、遅れてきた学生が入室してきたので、その学生に地球の歩き方を演奏してもらい、セッションになる。その後、アナンが楽器を持ってきているので、弾いてと頼むと、なんとモンゴルの馬頭琴。この人、ほんまに何でも演奏できるなぁ。その後、急にディスカッションになり、産業革命以降の西洋は、分業化が進んでしまったのが問題、とかアナンが言い始め、そのまま原発の問題なども含めた議論に突入。英語でのディスカッションを時々、アナンが通訳する。流れで、青森で発表したインスタレーション作品も紹介。濃厚な午前中だった。

昼ご飯は、Solot Kutaratという竹の笛を作り続ける作曲家と食べることになる。彼もパヤップ大学の先生で、30年前にパヤップ大学にブルース・ガストンというアメリカ人が教えていて、彼がタイ伝統音楽と西洋音楽をミックスした最初の実験をした人らしい。ブルースは、fong nam ensembleを結成した。6年チェンマイで教えた後に、バンコクのチュラ大で教えた。その時に、アナンがブルースに教わり影響を受けたとのこと。


昼食後、車の塗装職人が趣味で楽器を作っているところに行く。タイの音階の笛。

minimalというギャラリーへ行き、ここでレクチャーをすることになっている。タイの文字を変形させた模様を作った展示をしていた。京都のように入り口は狭いのに奥に細長い。チェンマイと京都は似ているのだろうか?観客は主に、外。スクリーンは建物の中で、外から見る感じ。畑の楽譜の話や、原発の話、即興演奏の話、いろいろな話が濃密に繰り広げられた。即興演奏と環境との関係とか、ケージやダダやシュールリアリズムとの関係とか、観客をどうやって獲得していくのかとか、様々なタイプの質問が出て、議論が長々と続いた。

夜はチェンマイ大学の近くのベジタリアンレストランで食べた。