野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

大土地神楽の稽古(→笛るマータ)

島根県のIターン推進事業の助成を受けて、今年の7月から出雲にて活動をしているダンサー/モデルの高須賀千江子さんを訪ねて、妻と出雲を訪ねました。

高須賀さんは、国の無形重要文化財に指定されている大土地神楽の修行もされておられ、稽古場を見学させていただきました。大変、ゆったりとした稽古場の雰囲気や、突然始まった稽古の様子など、本当に満喫させていただきました。

さてさて、自分の現在抱えている仕事とは、全く無関係に、この神楽の稽古を鑑賞していたのですが、ここの神楽のお囃子は、笛と太鼓で構成されており、金属の鉦などはありません。これを見ているうちに、舞いの動きが、笛吹きに対して、「待った」をするように見える瞬間があったのです。あっ、これは、千住でのワークショップでの「笛るマータ」での「待った」のポーズにそっくりではないか!

そう思った時に、千住の「笛るマータ」は、笛+「待った」する人だったのに対して、ここの神楽は、笛+太鼓+舞い(「待った」する人)なのです。それまで、ぼくは「フェルマータ」という音楽用語から、てっきりリコーダーの演奏内容は、西洋風なイメージしかなかったのですが、これを見た瞬間に、「笛るマータ」に太鼓を入れれば、これは、全然違った味わいになる、と瞬時に繋がりました。千住の「だじゃれ音楽」と大土地神楽が結びついた瞬間です。