野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

貧乏について

砂連尾理さんのお宅に滞在しまして、楽しい時間を過ごしたのですが、この社会の経済構造について、搾取する側/される側について、いろいろ砂連尾さんが投げかけた疑問がありまして、議論をする楽しさはあるのですが、議論を越えたワークショップに突入すべく、トランプをして遊びました。

ご存知の方も多い、「大富豪」という名のゲームです。大貧民が大富豪に一番強いカード2枚を献上し、大貧民は大富豪から、最も不要なカード2枚をもらう、という不公平極まりないゲームです。そして、このゲームでは、一度、大富豪になると、なかなか貧民まで落ちないし、一度、大貧民になってしまうと、富豪への道は非常に遠い。

さて、ゲームをしてみての感想なのですが、このゲームをやっていて、最も楽しくイキイキしているのが、大貧民や貧民なのです。良い札が集まってくる大富豪は、勝って当たり前で、そして、当然のように勝ち続けるのですが、貧民や大貧民は、大したことないカードをうまく工夫してやりくりし、最大限ゲームを楽しめるのです。

こうやってみると、適度な貧乏というのは、何でも手に入る金持ちよりも、やりがいのある人生なのかもしれないと思いました。限定された条件の下で、最大限の効果をあげないといけない。そういう制約は楽しいものです。遠足のお菓子は、200円までと決まっていたため、その金額内で何を買うか一生懸命工夫をしましたが、無尽蔵にお金があったら、お菓子の買い物はあれほど楽しくなかったかもしれません。

そういう意味では、適度な貧乏は楽しみやすいのです。

この適度な貧乏を楽しめるだけの時間があったり、精神的な余裕があったりすることは重要なようです。また、やりくりや工夫で幸福が得られる程度の貧乏と、そうでない貧乏は当然あって、貧乏だったら幸せだとも言えない。また、金持ちだと、必ずしも不幸せというわけでもないでしょう。

寝るのも忘れて深夜までトランプをしている我々は、貧乏だけど幸せだなぁ、と言いながら、そんなことを語り合っておりました。