野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

佐賀のSaga

ヒューによると、英語で、sagaとは、
1)北欧伝説
2)老人のホリデーの会社の名前
だそうです。ということで、今日のヒューとのワークショップは題して「佐賀のsaga」。濃厚な4時間でした。

1)リズムに合わせて名前を言うゲーム
2)1、2、3と3拍を二人で交互に言うゲーム、とその発展バージョン
3)「門限ズ」の「10秒リレー」
4)「10秒リレー」の発展バージョンが、即興ミュージカルに
休憩
5)Tuningworlds(ソロ)を一人ずつ録音
6)Tuningworldsの集団バージョン
7)イギリスの子どもの作った話の続きの創作
8)shared inventionsより、図形楽譜の解読
9)shared inventionsのビデオを見て、そのインスピレーションによる即興


ヒューは、「shared inventions」というプロジェクトを開始していました。ヒューは、composition(作曲)=invention(アイディアを考える)+arrangement(アレンジする)と考えていて、inventionは誰でもできるが、アレンジには、技術がいる、と言っています。そして、子ども向けの創作のワークショップでは、inventionの部分にフォーカスすべき、というのが、彼の持論です。そして、えずこホール(宮城)、Baltic(Gateshead)などでやったKeyboard Choreography Collectionでは、幼児のデタラメ演奏を起点に、それを大人と発展させました。彼は、さらに、このアイディアを進め、新プロジェクト「shared inventions」では、幼児の考えた音楽のアイディアを、別の大人たちとシェアーして、発展させています。これが、なかなか面白かった。

あと、Tuningworldsでは、"What tunes your world?"という質問をするのですが、この質問の意味は、色々にとれます。それは、tuneという動詞の意味が、多様だからです(調律する、調整する、ラジオの周波数を合わせる、協調する、機械の整備をする)。そして、ヒューが、イギリスでこの質問をしても、「どういう意味?」と聞き返されるそうですが、それには答えずに、多様な解釈の余地を残すところが、プロジェクトの面白さ、とのことです。本日の解釈も実に多様でした。


ヒュー・ナンキヴェルと佐賀にて即興音楽ワークショップ。オーガナイズしてくれたのは、佐賀でファミリー・シアターという即興演劇をしているバラさん。バラさんと出会ったのは、明治安田生命エイブル・アート・ジャパンが行った「エイブルアート・オンステージ」というプログラムです。このエイブルアート・オンステージの実行委員をした時には、単に書類選考や助言をするだけに留まっていてはいけないな、と思い、必要最低限ではなく、最大限にプログラムの内容にコミットしました。自分の作品創作などに充てたり、余暇の時間に充てられるかなりの時間を割いて、かなりダイレクトに関わりました。それはエネルギーの要る仕事で、数々のトラブルにも巻き込まれたし、決して楽な仕事ではなかったのですが、それらの経験を通して、本当にたくさんの出会いがあり、こうして、多くの関係が続いていることを、本当に嬉しく思います。あの頃の苦労が、ちゃんと今につながっているな、と思うと、本当に嬉しいです。バラさんと仲間達に感謝。

ヒューとバラさん達と温泉にも行きました。明日からは長崎です。