野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

スティマーザールのピアノ

本日、マレーシアから来日中の作曲家/ピアニストのロス・ケリーの要望で、調律師上野泰永さんの音の実験場としてのホールStimmer Saalを訪ねました。上野さんは、1月21日のジーベックでのコンサートで調律をするだけに留まらず、出演者の立ち位置から、ピアノの置き位置など、音に関するアドバイスを数々いただき、隠れたところでコンサートを盛り上げていただきました。そのことに、ロスが共感したのか、是非、彼のホールに行きたい、というので、付き添いをしました。

で、このホールで、上野さんが目指しているのは、ぼくが考えるに、以下のようなことです。

ピアニストが音を出そうとして行う行為(無意識なことも含めて)に、とにかく敏感に反応できるピアノと空間を作る、ということです。ピアノの反応が本当に良いのです。そのことを、上野さんは、ピアノを不安定にする、という言い方をします。不安定な状態だからこそ、魅力的な音を作り出すという発想、生ものとしての生きた音を捕えようとする姿勢に、ピアノを弾く側も最大限に応えていきたいと思います。

今日も、椅子を微妙に変えると、音がどう変わるかとか、色々、本当に素敵な音の実験に関わらせていただきました。感謝。

http://www.stimmersaal.com/