野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

新しい伝統音楽 その3

 「新しい伝統音楽」をテーマに掲げた「トゥンビ音楽祭2011」の最終日。スボウォさん作曲のグンデル3台の作品の演奏がありました。昨日、ラハユ・スパンガさんのCDも聞き、これまでも様々な魅力的なインドネシアの音楽を聴いてきましたが、スボウォさんの作品を聴いて、この人は群を抜いて、凄いと痛感しました。他の人達とは全然違う異次元のところで創作しています。非常に繊細な表現だったり、独自性が高過ぎるので、そのことを鑑賞し評価し断言できる人は、まだまだ少ないかもしれません。でも、今日の演奏の録音を何度も聞き返して、スボウォさんの音楽から学ばせてもらいたいです。
 あと、今回のフェスティバルを通しても感じたことですが、ジョグジャカルタでは、西洋音楽が盛んな町です。ヴァイオリンやチェロやフルートや。ジョグジャの西洋音楽の音楽家の中には、ガムラン音楽や、民族楽器や、クロンチョンなどのポップスや、様々な音楽ジャンルと共演している人が、結構たくさんいて、アドリブもできるし、融通がきき、決して侮ることはできません。インドネシアは、ガムランは凄いけど、それ以外の西洋音楽はレベルが低い、などというステレオタイプな物の見方はやめた方がいいです。本当に、先入観をなく物事を見ないと、本当のことは見えてきませんね。