野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

やめます!〜希望の国、日本へ〜

こちらは、相変わらず、インドネシアジョグジャカルタにおります。今日は、震災から2ヶ月で、ぼくの帰国まで80日となっています。

インドネシアの色々なことって、本当にドキュメントされていないんですよね。ほとんどの物が、忘れられたり、失われていくのですが、それを惜しいとは思わないのでしょうね。日本のように、季節が変化し、今あるものはなくなってしまうという無常観でもあると、残そうとするのでしょう。こちらは、年中熱帯。変化に乏しいので。

しかし、グーグルが世界中の情報を掌握して、世界征服をしようとしても、このインドネシアだけは、グーグルでも支配できないかもなぁ、と思ったりします。記録は少なく、多くが記憶にのみ残ります。意外と、今世紀の途中で、世界がグーグル化した後、ポスト・グーグル時代の鍵がインドネシアにあったりするかもしれませんね。情報を徹底的に未整理にして、各自が覚えている知識で、把握していく世界。ちゃんとした地図もないので(売っている高い地図ですら、主要な道路はあっても細かい裏道までは載ってない)、裏道は、歩いてみないと、どうつながっているか分からないですし。

日本の状況、こちらでは、想像するしかないのですが、多くの人が危機意識を持って、ちょっとずつだけど行動を開始したり、色んな人と未来について語り合っていると思います。国の未来について、語り合うことが、とても貴重だと思います。今年をきっかけに、日本という国が大転換できるな、と感じています。

地震や災害と共存し、環境と共生し、電力に依存し過ぎない生き方が、どんどん主流になっていくでしょう。世界中が日本の転換を参考にして、追随していくような、そんな展開が待っているはずです。そういうライフスタイルを定着させるための環境教育とかも、世界の先駆け的な存在になっていくはずです。そういう未来をつくっていくことが、震災の被害者への最大の鎮魂歌や応援歌になるはずだと思います。

で、新しいライフスタイルを始めるために、色んなことをやめる勇気を持たなければいけない。原発やめます、は、その一つ。人によっては、たばこをやめます、なんていうのもあるかもしれない。親不孝やめます、っていうのもあるかもしれない。食品添加物やめます、とか、農薬やめます、とか、今日は車やめて自転車にします、とか、今日は電気やめて、山登りにします、とか。何かをやめるというのは、その代償に何かを得るものだと思います。何かを始めるよりも、何かをやめることの方が、数倍大変です。結婚するよりも離婚する方が、数倍大変です。痛みを伴います。でも、何かをやめることで、その痛みよりも大きな幸福を得ることができる。だから、ぼくたちは、今、少しずつ、一つずつ、やめていくことで、本当に多くなものを手に入れられる。そんな転換の時期に来ているのだ、と思います。この大転換は、本当に素晴らしいことだと思います。

そんな日本に戻るまで、あと80日になりました。インドネシアでの残りの日々、そうしたことを考えながら、インドネシアの人々からいっぱい学ばせてもらおうと、思っています。ポスト・グーグル時代への先駆けとしての日本もあり得るかもしれませんね。希望の国、日本へ!