野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

火→お湯←水

2004年に神戸で「火の音楽会」というのをやりました。これは、火の燃える音を聴く音楽会で、

1 線香花火のアンサンブル
2 火打石のアンサンブル
3 キャンプファイヤーの中の音を聴診器で聴く
4 キャンプファイヤーの中に仕込んだマイクの音を聴く
5 様々な火のアンサンブル
6 火とピアノの共演

といった内容を、六甲山のキャンプ場のキャンプファイヤー場でやりました。

2009年に福岡で「お湯の音楽会」というのをやりました。それは、お風呂の音を味わう音楽会で、

1 銭湯混声合唱「フローリア」
2 野村誠「お湯の独奏」
3 野村誠+やぶくみこデュオ「お湯の二重奏」
4 フロリズム1番「月光」
5 フロリズム2番「日光」
6 フロリズム3番「マーチ雷」
7 銭湯混声合唱「いいな風呂」

というような内容を、銭湯でやりました。

で、よく考えると、火+水=お湯なので、「火の音楽会」と「お湯の音楽会」をやっているので、当然「水の音楽会」はあるべきだと思うわけです。

また、火を沈めるのは、水です。2004年の「火の音楽会」は、阪神大震災の復興のイベントとして行われたものです。震災で起こった火事を沈めるのも、水。ざわざわした気持ちを、沈静化させる仕事も、水の仕事だと思うのです。

それと同時に、ぼくにとって学校の水泳の時間と言えば、良い思い出は全くありません。泳げないので、小学生の頃は、本当に、雨が降って中止になることを、いつも祈っていたし、プールの日の朝、体温を測って、熱があって見学にならないかな、と思ったものでした。そんな苦手であり嫌いだったプールに、取り組むこと。敢えて、できないことに取り組むこと。できないことだからこそ、音楽という切り口で、自分の苦手意識を払拭して、新たな可能性を切り開きたいのです。

8月は、いっぱいプールに行きます。

ところで、水と言えば、ケージに「Water Music」という曲があります。それに、武満徹に「水の曲」という水の音をテープ上で加工した作品もあります。そんなことを思い出しているうちに、ジョン・ケージの「Water Walk」自演映像を見ました。

あとは、タンドゥンの「Water Concerto」

これらの音楽も好きですが、ぼく自身は、もっともっと、水を主役にした音楽を作れると思うし、さらに言えば、水を演奏するという行為を主役にした音楽を作れると思うのです。