野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

水琴窟

円光寺に行って、水琴窟の音色に耳を澄ます。うぐいすの鳴き声、せみの鳴き声などが聞こえる庭園の音と、水琴窟の倍音。とても良い。

8月28日に、プールで音楽会をするので、水の音に思いを巡らせています。江戸の人々は、水の倍音をこんなに楽しんでいたのですね。

ちなみに、7月28日の日記に書いた1990年に作曲のウォークマンを付けたパフォーマーのための「組曲」という曲の冒頭5分ほどは、ずっと水が滴る音を聴くというもので、水に浸したタオルを干すと、水滴が落ちて来て、それが複数あると、リズムを刻むのです。その下に受け皿として、スチールドラムやタンバリンを置くと、本当に良い音がするわけです。

8月28日のコンサートのコンセプトは、3通り考えられます。

1 プールの音楽
2 水泳の音楽
3 水の音楽

はたして、どれなのでしょうか?この3つで、コンセプトは全然違ってくるはずです。

「プールの音楽」ならば、水だけに限らず、プールという場所の特性を活かした音楽を考えることになるはずです。

一方、「水泳の音楽」ならば、「泳ぐ」という行為に着眼して、そこから生まれる音楽、ということになります。

ところが、「水の音楽」ならば、「水」の音そのものに着眼して、「水」の音を聴かせる場として、たまたまプールという会場でやっている、ということになります。

で、今、考えているのは、この3通りの作品を考えてみたい、ということです。