3月14日の「老人ホーム・REMIX #1」から1ヶ月、特別養護老人ホーム「さくら苑」を訪ねる。(老人ホーム・REMIXについては、以下の予告編を参照ください)
http://www.youtube.com/watch?v=LbYZ6hyhTWI
14日の公演を見に来て関心を持たれたシンガーの中ムラサトコさんが見学に来られた。さくら苑のキムタクを自任するお年寄りの樋上さんは、全員でのセッションの中に微かに聴こえた中ムラさんの歌声について、とても良いので、一人で何か歌ってくれ、とリクエスト。さすがだ。そこから、飛騨高山の盆踊りを教わったりもする。
見学に来ている俳優の倉品淳子さんの持ちネタに、おじいさんをやる一人芝居があって、これが面白い。ぼくは、お年寄りを前にこれを演じてもらったら、どんな感じがするのだろう、と思い、リクエスト。すると、芝居が始まると間もなく、樋上さんが、この芝居にアドリブで参入.二人芝居になる。
お年寄りを演じる俳優の横で、お年寄りがお年寄りを演じる。すごい光景だ。もともと手に震えがあったりするのに、演技として、さらに震えを強調したりするわけで、ボケてないのに、ボケているふりをしたり、耳が遠いふりをする。でも、もはや、どこまでが演技で、どこからがリアルなのか、分からない。お年寄りが演じるお年寄りの演劇。あまりにも面白くって、腹を抱えて笑ってしまいました。
フィクションとリアルの境界が、曖昧になる。これって、言ってみれば、「なんちゃってジャズピアニスト」をやっている人の横で、本物のジャズピアニストが「なんちゃってジャズピアニスト」をやっている、ようなものですよね。自分で自分自身をパロディーしてしまうとは、さすがです。
あと、「老人ホームに音楽がひびく」の著者の大沢久子さんも、非常に久しぶりに来られました。
- 作者: 野村誠,大沢久子
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 単行本
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こちらの本も地道に売れているようです。まだ、お読みでない方は、ぜひ。
そして、帰り際に、職員の方からお声がけをいただきました。
「私、明日で退職するのですが、9年程前に、ここで働き始めてすぐの時に、野村活動を担当させていただいたのです。その時以来、本日が2回目で、とても感慨深い思いでした。野村活動は、入所者のお年寄りから支持を得ている活動なので、すごく羨ましく思っていました。最後に参加できて、本当によかったです。ありがとうございました。」
とのことでした。このコメント、非常に嬉しく思いました。それと、まだ着手できていない、老人ホームの職員の方々が(ヘルパーとしてではなく)積極的に関われる活動に、どうやって展開できるか、を考えてみたい、と思いました。