野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

聴く芸術家

今日は、インタビューがあって、出かけて行って、好きに話しました。

で、今日、思ったこととしては、

語る芸術家
聴く芸術家
いるということです。また、これも大雑把な分類であることは、承知の上ですが、一度、この考えで話してみると、少しクリアになるので‥‥

自分の意見を強く伝える力を持つ発信力の強いアーティストがいて、仮に「語る芸術家」と呼んでみます。こういう人は、(大声であろうと小声であろうと)、まぁ、その発言には強い意志があり、そういう意志のある言葉には影響力があるわけで、他人を巻き込む求心力があります。

ところが、一方で、共演者のやりたいことをうまく聞き出したり、相手のちょっとした仕草や表情などから、色んなことを読み取ったり察することが得意な、人に意見を語らせるのが得意なアーティストというのもいます。これを、仮に「聴く芸術家」と呼んでみましょう。そういう人は、特に、ワークショップと言われる現場などで、その能力を発揮しているようで、参加者が表現しやすい場を作ったり、社会の色々なところに押し殺されている(表面化してこない)問題点にも、気づいてしまったりして、実は、そんな中には、ぼくにとって注目すべきアートはたくさんあるのです。

しかし、こうした「聴く芸術家」の表現は、発信することよりも聴くことに置かれている比重が高いため、なかなか聞こえてきにくい。だから、「聴く芸術家」が今気づいている様々な問題点に気づかぬまま、ぼくは素通りしてしまいそうになるのです。

ですから、

「聴く芸術家」が何を思っているか、それを聴く人が必要

なのだと思います。

そんなことを思いました。