野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

高嶺格「憂鬱のアンギラス」

運良く早起きできたので、都城のホテルをチェックアウトした後、空港に行く前に1時間だけ空き時間がありました。ということで、都城市立美術館の展覧会を見に行きました。南九州出身の美術家の作品展で、その一人が高嶺くんだった。

高嶺くんの作品は、都城市民会館の建築が非常に変な形をしていて、近々取り壊されそうになっているらしく、その形がウルトラマンに出てくるアンギラスという怪獣に似ていて、その形をモチーフにしたインスタレーションで、高校生が描いた今まで市民会館で演奏したミュージシャンの似顔絵がプロジェクションされて、そして、会場の明かりは、以前の洞窟に入っていった時と同様に、そして、横浜トリエンナーレの時と同様に、蛍のように明るくなったり暗くなったりするのです。

この作品なのですが、都城市民会館のいきさつを全く知らなかったり、または、今から50年後に都城と全く別の場所で、このインスタレーションを見たとしても、何か色々な感情を喚起させられる作品だと思いましたし、ウルトラマンの怪獣を知っていても知らなくても、この作品を見る上で、大きな妨げは全くないと思います。横浜トリエンナーレで発表した作品は「鹿児島エスペラント」というタイトルだったように記憶していますが、ローカルであるとか、ユニヴァーサルであるとか、そういったことに如何にとらわれずに、作品を作ったり観賞したりできるか、ということが、意外に簡単であったり、意外に難しかったりするのだ、と思います。

というわけで、美術館に30分ほど滞在して、空港でばったりエイブル・アート・ジャパンの太田さん、明治安田生命の平井さんと遭遇。彼らは東京から宮崎に着いたところ、ぼくは今から宮崎を経つところ。佐久間新さん、大友良英さんのインタビュー(聞き手細馬さん)がすごく面白かったらしいことなどを聞いて、大阪へ飛ぶ。

5週間ぶりの京都の自宅には、5週間分の郵便物が山積みになっていました。ひとまず、今日は、教育音楽の連載原稿を書き(長崎でやった鍵ハモの集団セッションのこと)、エイブルアートのフリーペーパーのための原稿(エイブルアート・オンステージの課題と可能性について)を書いてしまおうと思っています。