野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「なかったことにしないために」取手アートプロジェクト下見

今日は、取手アートプロジェクト(=TAP)のため、取手で一日過ごしました。

まずは、町の色んなところを下見。柴田欽子さん、森司さん、五十殿彩子さん、長津結一郎さんの4人によるツアー(取手グリーンスポーツセンター、戸頭終末処理場、岡堰、取手宿本陣、取手福祉会館)。かなり、面白かったです。

その後、TAP事務所で、野村誠レクチャー(横浜トリエンナーレで上映した「アートサーカスの音楽」と「ズーラシアの音楽」を見ました)。

で、最後は、居酒屋で野村誠を囲んでのお食事会。皆さんといっぱい喋りまくる5時間でした。だんだん、やる気になってきました。

11月は、イギリスに行ってホエールトーン・オペラなどをやる予定で、山下残くんとの公演も、11月が候補にあがったけど、1月にして、とやっているうちに、ホエールトーンが来年に延期になって、うまいことあきそうなのです。2週間くらい取手に住むことになるかもしれません。

ところで、改めて気づいたのが、なかったことにされることの多い人生です。放送中止になった番組を筆頭に、コンサートのアンコールに飛び入りで参加したら、それが賛否両論となり、共演者やスタッフから「なかったことにしたい」という意見がでたらしいし、小学校でワークショップをした時の1回目、校長先生のコメントが「なかったことにしたい」だったそうです。反感を持たれることをしようと思ってやっているつもりはないのですが、気がつくと、そういう力が働いてきます。だから、ぼく自身が存在し続けるために、すごくエネルギーがいります。

そして、そもそも音楽というのは、その場で起こってその場で消えていく形の残らないものです。そもそも、なかったことになりやすいのです。しかも、ぼくのやっている音楽で、特に五線の楽譜とかCDなどの既存のフォーマットでないものは、そもそも「なかった」もので、しかも「なかったこと」にされやすいわけです。だから、あらゆる音楽シーンからも社会からも「なかったこと」にされやすいのですが、「なかったこと」にされずに生き残りたいので、色んなやり方で、残していくってことを、ぼくは意識的にやってるみたいです。