野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

再び「音の城」に行って来ました

深夜2時から3時半ごろにかけて、片岡祐介さんと電話で話しました。「音の城」での片岡さんの演奏に対する不満を直接伝えたところ、片岡さんから、もう一度見に来て欲しいと言われ、もう一度行きました。

「音の城」は、昨日と全く違うものでした。昨日、あの後、スタッフが深夜12時近くまで議論をしていろいろ考えて臨んだようで、いろいろ違っていましたが、昨日は、全ての部屋がプレイルームかリビングルームという印象だったのが、今日は、多くの部屋がステージという印象でした。昨日は晴れで外光が入ってのんびり陽気。今日は外は雨で薄暗く、スポットライトが仕込んであって、出演者にちゃんと照明があたっていました。演奏者にも客に聴かせているというテンションがあって、遊び場を覗き見しているという感覚はなく、色んな部屋で同時多発でライブが行われている感じでした。

片岡さんも、今日は昨日よりも圧倒的にいい演奏をしていました。彼にしては、普通のできです。昨日の演奏が酷かったので、昨日に比べれば今日のほうが圧倒的にいいですが・・。

今日は千野さんはキーボードをいっぱい演奏していました。

「どっこいしょ」と言う口癖のある女性に、ピアノで「どっこいしょ」の曲を演奏してくれないか、とリクエストしてみました。恥ずかしそうに嬉しそうに、大胆なピアノ演奏を聞かせてもらい、ぼくはちょっと得した気分がしました。

昨日いなかった男の子で、グルーヴのあるパーカッション演奏する人がいて、そのため、かなりビートのある音楽がありました。

第2期に参加する森本アリさんと出会いました。なんでも、98年のパリでのパフォーマンスを見てくれていたみたいです。まだ音を聴いたことがないですが、すごく楽しみ。

最後に主催者挨拶のときに、是非メンバー紹介をして欲しいと思い、客席から「メンバー紹介して欲しいです」とリクエストしました。一人一人に拍手があって、嬉しそうだったり、ちょっと照れくさそうだったり。

その後、打ち上げ2次会まで参加しました。ここまで来たら、最後まで付き合いたかったので。大友良英さんが初めて見学したときの皿投げワークショップは何だったのか?主催者は何がやりたくてこのゲストをよんだのか?質問したいことを色々聞けました。課題も可能性も浮き彫りになってきたし、いい感じになってきたと実感できて、気持ちよく帰ることができました。

あと、すごく気になってたことで、音楽療法の人って、どうしてビデオを見るの?どうして録音を聴かないの?ということをぶつけました。どうも、音楽療法の人は、音よりも子どもの反応に興味があるのではないか?音楽で判断するなら、録音すればいいではないか?しかも、録音で聴けば、この音は子どもが出した音なのか、大人が出した音なのか、なんて先入観なく、音だけで聴いて、その音がどんな表情か聴ける。ビデオで見ると、「子どもが笑顔」とか、「視線が泳いでいる」とか、「自信なさそうな表情」とか、そういう視覚情報に引きずられて、音のニュアンスを感じとりにくくなるのではないかと、思った。

音楽療法士は、聴くことが少なく見る(診る、観る)職業なのか?音楽家は、見るより圧倒的に聴く。聴いて感じることって、いっぱいあるもん。

京都までの帰り道、録音の五島昭彦さん(大阪まで)、大友さん、林加奈さんと感想や展望を語り合いました。なんだか、楽しみになってきました。ぼくも可能な限りワークショップに顔を出していきたいと思いました。