野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ズーラシアで作曲

横浜みなとみらいホール企画のワークショップ「弦楽四重奏曲をつくろう!」のおとなプロジェクト「動物園で作曲しよう!」の1回目。会場は、よこはま動物園ズーラシア。メイン会場は一般のお客さんが入れないアマゾンセンター。
ワークショップの講師は、ぼく+石川泰さん(作曲家・臨床心理士)+倉品淳子さん(俳優)。
明日やるこどもプロジェクトの方は、定員の倍の応募者があり、抽選により半分の人しか受講できないが、おとなプロジェクトの方は定員割れで少数精鋭。横浜トリエンナーレでちらしを見て応募した人、クラシックファン、以前山口でのワークショップに参加したことがある大分在住の人、調律師、ロックが好きだが最近クラシックにも興味が出た人、家に色んな楽器があって動物とセッションしてみたい人など、個性豊かなメンバーだった。
ぼくの自己紹介として現在横浜トリエンナーレで上映中の「ズーラシアの音楽」を見てもらい、続いて、倉品さんによる一人芝居3連発。石川さんが楽器を配って即興セッション、で午前の部終了
ちなみに、石川さんは、大昔に犬山の霊長類研究所で、チンパンジーのアイちゃんと同じ檻の中でコミュニケーションした経験があるらしい。この人は、本当にどんな話題にも引き出しがあってびっくりする。
東京芸大助教授の熊倉純子さんにお願いして、音楽環境創造科の学生にボランティアに来てもらった。
お昼ごはん、野外で食べた。遠足気分。
午後は、石川さん持参の大量の楽器をみんなで触るところから、自然と演奏が続き、40分くらい続いたところで、ぼくが「それそろ動物のところ行きましょう」。ツキノワグマのところで、倉品さんの動物の身体を真似するワークショップ。みんなでクマの前でクマになりきる姿は、相当おかしかったし、一般客がかなりおったまげたような気がする。石川さんは、倉品さんの演じるクマを見て、クマのメンタリティを理解していた。
それから、各自で好きな動物を探してまわる。動物を観察して、動物を(ある意味)楽譜として理解してみる。
時間が足りない。もっと動物を観察していたい。
アマゾンセンターで、発表。ペンギンが相当面白かったらしい。ペンギンの行動を擬人化し、そこにストーリーを感じているところが面白い。チベットモンキーの目の動き、シロふくろうの首の動きを音楽にできないか。シロフクロウが歩くときが実はすごい情けないらしい。
そうそう、こうした動物は止まっているときは、全く動かずとまっているのに、突然、シュッっと動く。この動きのリズム感が明らかに人間の呼吸感と違う。このリズム感・呼吸感で作られた弦楽四重奏って、面白いのでは!
ヤマアラシに関して、詩を作った人がいて、その朗読。おおおっ!石川さんは、この朗読の声自体が音楽的だと言った。
カンガルー、インドライオン、ロバなどの動きにも、いろいろな物語を読み取った人がいた。そう思ってみるとそう見えてくる。エミューは、首から上は滑らかな動きだけど、足どりは不規則なヨタヨタリズム。じゃあ、ヴァイオリンは滑らかだけど、チェロはヨタヨタ、というような曲ができるかも。
観察モードになったら、子どもの泣き声まで動物に見えてきたという人。
とにかく、こんな感じで、動物は奥深い。人間の呼吸感とは別の音楽が作れそうな予感。最後は閉園まで各自で動物をもっと観察して、紙にキーワードを書き続けて、次回までに曲のタネをもっと書いてくることにしておしまい。次回がすごく楽しみ。