野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

フェスティバル開幕

フェスティバル初日、無事開幕しました。
また、詳しいことはそのうちまとめて書きますが、大成功でした。
皆さん、感想など是非書き込んで下さい。

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「Dance & People」の舞台の初演。1作品目は、視覚障害の人と、青眼のダンサーのコラボレーション。2作品目は、2人の視覚障害者による舞台。とにかく、全ての出演者が印象に残った。振付の基本にある発想が、個々の身体の個性を生かすアプローチだったから、個々が本当に輝いて見えた。それと、障害者と健常者という関係が、意識にのぼらない作品であったこと。

この作品を、もっともっと多くのダンス関係者に見せたかった。この作品を見逃したダンサーは、惜しいことをしたと思う。

エメ・スズキさんの作品の「いってきます」という言葉を聞いただけで、ぼくは目を潤ませてしまった。そこに含まれる色んな思いが、全部凝縮されているような。

クリスタル・トゥループの舞台では、個々が見えにくかった。群舞が多いので、仕方がないが、個人的には、もっと個人を見たいと思った。その意味で、少し隙間があるといいのかもしれない。ゲネプロを見て、終わり真際の「らっせー」と踊った直後のブレイクで、すぐに楽器を始めずに、30秒ほど無音にしてもらった。「即興演奏ってどうやるの」という本に「やらないというやりかた」という記事を書いたけど、それ。本番、ここで音楽が「やらない」ことが、意外な効果を発揮した。この隙間に、出演者が想定外のボールを使った踊りを見せたのだ。その動きは会場の爆笑を誘った。作品を作りこむと同時に、隙間を作ること。これが、今後のエイブルアート・オンステージの重要な課題かもしれない。

10時〜深夜3時まで、Dance & Peopleの人々と飲んだ。皆さん、本当に真正面からこのプロジェクトに取り組んでくれたこと、嬉しく思った。これからに期待します。

(8月13日記)