野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

オルガンスープ初演

横浜みなとみらいホールで、オルガンの新曲の世界初演。新曲のタイトルは「オルガンスープ」に決定。22人の作った素材がスープのように煮込まれて、曲になったというような意味で。
午前中は、新曲の楽曲分析の講義みたいなことを、子どもたちに聞いてもらった。子どもたちの使ったフレーズが、どこにどんな風に出てくるか、子どもたちの書いたフレーズをどんな風に解釈したかを説明していった。これで、みんなに自分のフレーズがどこに出てきたかを理解してもらえた。
それから、司会の岩崎さんにインタビューするコーナー。本番では子どもにインタビューする側の司会者が子どもたちにインタビューされる。プロの司会者に話を聞くまたとないチャンス。同じ目線で話をしたい、芸能リポーターをしているときに離婚の話をインタビューするなどはやりにくい、などなど、いろんな話が聞けて、面白かった。
本番、ソルボンヌ先生も駆けつけてくれて、「シークレット」という掛け声による「秘密の気持ちの音」を出す即席ワークショップもあったし、子どもたちとの演奏もうまくいったよう。指揮者が回転する度に曲調が変わる即興を、客席で聞いた片岡祐介さん「単純だけども大変好み」と絶賛。
いよいよ客席で「オルガンスープ」全7曲初演を聴く。横にいる子どもたちの様子も気になるけど、そちらに気を奪われずに、オルガンだけに集中して聴いた。曲調が全然違う7曲を丁寧に新山さんは弾いてくれた。それぞれのフレーズごとに作曲家がいて、どこか一箇所でもいい加減に弾くとその子どもががっかりするだろうから、演奏する新山さんとしては凄いプレッシャーのある状況だったと思うけど、その全部のフレーズを大切にしようとする演奏であった。(普通は、流れや勢いを重視して、ここはきちんと出なくても仕方がないと見なされる音もあるだろうけど、全部、大事にしないと許されない環境。これをやりきった新山さんは凄い)
ボランティアのスタッフの話では、初演直後、何人もの子どもたちの目に涙が見えたとのこと。また、みんな自分のフレーズが出てくるときの反応がすごかったらしい。
最後にもう一度第7楽章の「ビバ’05」。一回目の演奏よりもリラックスしたいい演奏だった上に、新山さんの気持ちがより強く入った演奏で、非常に印象的だった。
これから、この曲が多くの人に演奏されていくことを期待してます。そして、10年、20年、30年とたった時に、子どもたちがこの曲と再会する日があることを考えるとワクワク。新山さん、倉品さん、石川さん、ホールのスタッフの皆さん、子どもたち、お客さん、この場に居合わせたすべての方々、どうもありがとうございました。
夜は、片岡祐介さん宅に遊びに行きました。