野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

新倉壮朗くんとのツアー2日目@有川中学校アリーナ

上五島での2日目。

 

有川中学校アリーナにて、新倉壮朗くんとのツアー2日目。本日は、タケオくんのマリンバの熱演とピアノで共演するのが前半。アフリカの太鼓のリズムを習得しているタケオくんがマリンバを演奏していると、アフリカの太鼓のリズムに影響を受けた作曲家のSteve Reichの音楽と何か共通点を感じるのが不思議。ライヒの音楽は、もっと機械的に演奏されることが多いけれども、タケオのようなうねりのあるリズムで演奏することも可能だろう。

 

マリンバの演奏の動きに観客はみんな釘付けだろうと思って、客席を見ると、大人のほとんどがタケオくんに視線をやっているのに、子どもの多くの視線はぼくに来ていて、驚いた。ピアノを習っていたり、何かピアノに関心があるのかもしれないな、と思う。その後、タケオくんにピアノを弾いてもらうコーナーを経て、子どもたちに鍵盤ハーモニカの鍵盤に触ってもらったり、鍵盤リコーダーの鍵盤に触ってもらったりするコーナーもやった。休憩中には、ピアノやマリンバの演奏体験タイムもやって、きらきら星の伴奏もしてみた。子どもたちの位置からは、ピアノの鍵盤もよく見えないだろうと、後半は、ピアノのすぐ近くに座って聞いてもらったりもした。

 

後半は、タケオくんのジャンベもあった。演奏がある程度いい感じになると、タケオが曲の終わりの合図を出して、演奏が終わる。時間だから演奏を終えなければならない場面を、これまで何度もタケオと経験してきたし、そうやって宴を終える術をタケオも体得してきた。ただ、今日の企画は、時間無制限にぼくとタケオで演奏し続けて、もっと音楽の奥深くまで冒険しても許される場だと思ったので、まだ終わらなくてもいい。その時に、タケオと梅津和時さんがライブをした時に、タケオが曲を終わらせようとした時に、梅津さんが終えずに演奏し続けたらしい、という話を思い出した。既にタケオの演奏は素晴らしすぎるし、ここで終わると曲として収まりがいい。けれども、タケオには、まとまらずに、とことん突き抜けた演奏をして欲しい。梅津さんも、そう思ったんだろうなぁ、と思いながら、ぼくらは演奏を続けた。

 

上五島からフェリーで五島に移動。上五島の青山さんが港まで送ってくださる。ずっと同行の14歳のおーちゃん、片岡さん、新倉親子と5人で50分の船旅。夜は、片岡さんの営むカフェ「たゆたう」で夕食。片岡さんはディレクションする(行き先を示す)というよりも、たゆたう人らしい。たゆたいながら、人を巻き込んでいく。

 

頼まれていた推薦状を書くのを忘れ続けていたが、ようやくホテルで書いて送信。夜空では、木星と月が近くに並んで輝いている。