野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

第1回パープルリボン作曲賞

第1回パープルリボン作曲賞の本選会。36曲が応募されて、譜面審査で残った13作品が次々に演奏されるコンサートが行われた。13曲の作曲者のうち、11人が出席。全てがピアノ曲で、作曲者による自作自演もあったので、7人の違ったピアニストがピアノを弾き、同じ楽器なのに奏者が変わると全く違う音がするので、そういう意味でも味わい深いコンサートだった。作曲賞なので、事前に全ての譜面に目を通し、何度もピアノで弾いて確認し、それぞれの作品に関する自分なりの評価をした上で、今日のコンサートに望んだ。今日のコンサートでの演奏で判断してしまうと、演奏の出来栄えで、名曲にも駄作にもなる振れ幅があるけど、作曲賞なので、作品をどう評価するかを考え、事前の準備に時間を割いた。それでも、本番の演奏で気付かされたことは数多くあり、短い準備期間にも関わらず、ピアニストの方々が真摯に取り組んで下さったことに感動した。多くの譜面を何度も読む作業は、かなり自分の時間を奪われる大変な作業だったが、今日のコンサートで報われた。苦労の甲斐があったと思った。

 

終演後、記念撮影をしたり、作曲者や演奏家の方々が交流し合っている光景を見るのは嬉しかった。今日をゴールに終わるのでなく、このコンサートがきっかけで色々な繋がりが生まれるのであれば、審査員として関われた意味が少しはあったかと思う。

 

本当は演奏家や作曲家の方々と打ち上げでもしたいし交流もしたかったけれども、草柳さんと清水さんとの審査。臨床家としての草柳さんの視点、ピアニストとしての清水さんの視点は、大変、勉強になった。それぞれの作曲家の魅力を感じれば感じると同時に、それぞれに期待することも色々あった。最終的に受賞作品を選出したが、選出されなかった作品が選出された作品より劣っているわけではないことは、強調しておきたい。今回の「パープルリボン作曲賞」および「ひまわり賞」のコンセプトに適した作品が選ばれたが違った観点から審査すれば、当然、別の作品が選ばれるだろう(これは、お世辞とか社交辞令で言っているのではないし、受賞作品の決定に不満があるわけでもなく、本当にそう思う)。

 

その後、木方幹人さんのお宅に泊めていただき、つもる話もした。

 

1 澤 勇輔「視線」(pf=御園生瞳)
2 田中  弦大「ピアノのための5つの小品」(pf=立木彩音)
3 三善 有希乃「空の、Rhythmの」(pf=三善有希乃)
4 濱川 礼「翻訳できない言葉」組曲 (pf=御園生瞳)
5 松岡 佳歩「⾔葉の棘」(pf=立木彩音)
6 次郎丸 智希「summer garden」(pf=次郎丸智希)
7 天岡 寛晋「INTERMEZZO」(pf=御園生瞳+眞鍋杏梨)
=休憩=
8 持麾 勉「まなざしを上げて Keep Your Head Up!」(pf=立木彩音)
9 小日山 拓也「Boleh Boleh BOLERO」(pf+gender=小日山拓也)
10 内海 治夫「焦燥から安定へ」(pf=御園生瞳)
11  千葉 理平「眠る姫よ、メロウな⾵だ」(pf=御園生瞳+眞鍋杏梨)
12 池田 文麿「パープルリボンの為のエチュード」(pf=清水友美)
13 山本 学「ピアノのためのパープルリボン・レジリエンス」(pf=御園生瞳)
〔特別演目〕
清水友美「『ひまわり~DVをのりこえて』1人の演者のための試作II」