野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

三味線やクラリネット/若隆景優勝/愛と数学

自宅の楽器リストづくりと整理中。弦楽器の整理で、三味線の弦が切れているので、鳥除け用の糸を張ってみる。見事に鈍い音が出る。他にも色々な糸を試してみたい。管楽器の整理で、クラリネットがあり、組み立てる。習ったこともないし、運指も分からないので、吹きながら適当に指を動かすと、微妙なピッチの連続で一昔前の前衛音楽のような響きになり、こうして遊ぶのは楽しい。

 

大相撲は千秋楽。横綱が休場の上、大関が不甲斐ないので、優勝争いは、関脇の若隆景と前頭6枚目の琴ノ若と前頭7枚目の高安の3人に絞られた。3人とも本割で負けての優勝決定戦で若隆景が優勝。2場所連続で関脇が優勝というのも珍しい。横綱大関が強いと、三役に定着は大変だが、今場所は、関脇2人と小結1人が勝ち越しの上、平幕上位での勝ち越しも多いが、ポストが開かないので、なかなか上にあがれない状況。

 

Edward Frenkel著『Love & Math -The Heart of Hidden Reality』読了。ソ連生まれでアメリカの大学教授の数学者の自伝的な本。ぼくと同じ1968年生まれ。ぼくが大学で数学を学んでいた頃、彼はユダヤ人として差別されて、数学を学ぶ大学に進学できなかった。ソ連では、現代数学を学んだユダヤ人がイスラエルに亡命し、数学の知識が核兵器や暗号解読などに使われることを避けるなどの理由で、露骨なユダヤ人差別が行われていたことが、実話として描かれている。入学願書をもらいに行くと、ユダヤ系だったら合格しないから出願しないように、と言われる。入学試験では複数の学生が集められて、解けた人から挙手をするように言われる。彼は最初に解けて手をあげるのに、無視される。他の学生が手をあげると、すぐに指名されるのに。そして、次々に他の学生が退出した後、試験官が次々に難題を出し続け、本人の口から棄権すると言い出すまで追い込んでいく。彼はやむなく棄権し、しかし、そんな状況下でも数学を続ける熱意を失わず、色々な出会いもあって、21歳でハーバード大学客員教授として招かれるのだ。彼は、ラングランズ・プログラムという数論、解析学幾何学など、全く別々の分野を結びつける数学理論を研究している。それは、数学の中の違った大陸同士を結びつけるようだ、と言っている。Love & Mathというタイトルは、すごいタイトルだと思ったが、実は、The Rite of Love & Mathというタイトルの短編映画を作った話で本書は締め括られている。しかも、この映画のタイトルは、三島由紀夫のThe Rite of Love & Death(邦題『憂国』)から着想を得たそうで、三島の映画を模したような映画だった。数学の美を数学以外の形式で表現する試みは、もっと色々あり得るかもしれない。もっと数学を勉強したい。 

 

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