野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

びわ湖・アーティスト・みんぐる2021→2022/笛の整理/ローズマリー

今年度、びわ湖・アーティスト・みんぐる2021『ガチャ・コン音楽祭』のプロジェクト・ディレクターをして、次年度も継続することになり、財団の福本さん、山元さん、コーディネーターの野田さん、永尾さんとリモート会議(以下は、会議の内容の要約ではなく、会議を通して自分なりの整理を記します)。

 

今年度は、地域コーディネーター”ぐるぐる”育成講座を行い、素晴らしいゲストを招いての3回の講座を経て、実際に近江鉄道沿線をリサーチしたり、実際の企画運営に関わってもらうチームとなった。”ぐるぐる”を継続していきたいが、次年度は講座というよりはプロジェクトメンバーとして、実際に活動/体験を通して自然に学べるような形がいいのでは、と考え中。年度が明けたら早速募集を開始して、活動を始めるようにしたい。企画が形になっていくプロセスそのものが面白いので、まだ不確定の要素が多いところから、色々一緒に交流できたり、知恵を出し合えたりしたら嬉しい。

 

今年度も、近江鉄道沿線エリアに何度も足を運び、さまざまな交流やリサーチを通してプロジェクトを組み立てた。今年度もそこは重点を置いていきたいし、そのことから作品を生み出すことは必須としたい。コロナの時代に、対面での活動を重視して行えたことは、本当によかったと思っているが、同時に、ウェブ上での発信やアーカイブは不十分だったというのが次年度への課題。この辺は解消していきたい。

 

近江鉄道との関わりは、昨年度手探りで始めて、『車内放送歌合戦』と『無人駅の音楽会』を実現できた。近江鉄道とせっかく築けたつながりや方法は活かしながら、近江鉄道と協力しながら事業を展開したい。近江鉄道沿線にイベント会場を設定したり、今年度のように近江鉄道の駅や車内を活用する企画を組み合わせたり。

 

滋賀のアーティストの発掘や発表の機会を、どうやって作っていくかは課題。単に発表の機会を作るだけでは意味がなく、仮にも「みんぐる」を名乗っているのだから、それなりにマッチングやコーディネートをして、単なる発表を超える企画にしたい。アーティストの持つ魅力、特に本人も自覚していないような特色を引き出すために、どんな仕掛けがいいのか、丁寧に対話を重ねながら準備していければいいな、と思う。「濃厚接触」という言葉が悪い意味で用いられる時代に生きているけれども、新しい作品を生み出すためには、(実際の接触は伴わないとしても)心理的には「濃厚接触」していくこと、一歩踏み込んでいくことが必要なんだとは思う。領土やブースなどで仕切られて、それぞれの領域で別々に活動するのか、領域を飛び越えて交流するのか。境界を越えることは、時には紛争も生み出すリスクを伴う。だから、丁寧な対話や交渉力が必要になる。忖度せず、決裂せず、当たり障りがありそうなのに、どうやって実現して着地させるか。その辺を意識しながら、アーティストの選定や企画の吟味をしていきたい。

 

色々、好き勝手言ってるけど、全部、自分に跳ね返ってくる言葉だな。目先の派手な成功を求めるのではなく、丁寧に一つずつやっていこう。昨年の今頃のことを思えば、初年度で数多くの出会いがあって、大きな成果だと思っているので、次年度はさらに深く入りたい。

 

自宅の楽器整理は続いていて、本日は笛を中心に整理。色々なキーの笛があって、尺八とタイの笛がD菅だったが、オカリナとティンホイッスルがB♭菅で、アルトリコーダーとインドの横笛がF菅で、ソプラノリコーダーがC菅。これだけ違ったキーの笛が一斉に演奏されるだけでも、面白い響きだろうなぁ、と想像するだけでニヤニヤしてしまう。楽器の整理整頓をしているだけで、脳内で未知の音楽を空想できるのが楽しい。《笛るマータ》という曲があったなぁ。また、やってみたいな。

 

畑仕事をしていたら、ローズマリーがとても元気でいい香りをさせていたので、夕食に使ってみた。この10日間は家事を集中的に担当して、料理のレパートリーが底をつきそうだったが、また新たなレシピが増えた。