野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

非接触時代のシュトックハウゼンのコンタクテ/相撲聞序曲

接触を伴わないことを良しとされるコロナ禍で、本日は、接触(=コンタクテ)というタイトルのシュトックハウゼンの代表作を、中川賢一さん(ピアノ)、宮本妥子さん(打楽器)、有馬純寿さん(電子音)で豊中市立文化芸術センターで上演されるということで、聴きに行った。本当に熱演であった。緊張感が途切れることなく約35分の時間の集中があった。

 

演奏は、小ホールで行われた。小ホールの舞台がピアノと打楽器とスピーカーで所狭しと並んでいる光景も圧巻であった。逆に、演奏はさらに大変になるだろうけれども、コロナ特別バージョンとしては、大ホールの超広い舞台で思いっきりディスタンスを取りまくった演奏もあり得るだろうな、とも思った。4チャンネルのスピーカーの音像の空間的動きを広さで味わうような。

 

小ホールなので、ピアノと打楽器と電子音の音色の室内楽的なブレンドは、とても馴染みがよい。音色の異質感ではなく、音色のブレンド感が印象深い演奏だった。20世紀後半の洗練された古典音楽を生演奏で聞けた/見れて、安心感があった。この3人は、それぞれ野村作品に関わっていただいたことがあるが、この3人のために作曲できたら楽しいだろうな、と夢想した。

 

大慌てで帰宅後は、香港の冊子の校正作業をして後、大類朋美さんに頼まれていた「相撲聞序曲」の編曲をする。サックスとヴィオラとピアノのトリオに。それにしても2017年に作曲して以来、この曲はいろんな編成に編曲し続けているなぁ。